今季NPB1軍復帰はならずも、くふうハヤテの若手の成長に貢献した元DeNA田中健二朗
「NPB12球団を目指す若い選手を見ていると、『もう少しこうすれば良いのに』と思うことがよくあります。それは自分自身も勉強になるというか、新たな発見もあるので、面白いなと思ったりしています。彼の良い所はどこかなと観察して、少しアドバイスしただけで球速が上がったり、コースを攻められるようになったりもします。 逆にできないときは『若い頃の自分と重なる部分もあるよな』とか、忘れていた大切な感覚を思い出させてくれたりもします。そういった部分は少なからず、良い刺激になっています。 (チームメイトの)福田(秀平)さんだったり、藤岡(好明)さんだったり、倉本(寿彦)だったり、僕も含まれるのかもしれませんが、(NPB1軍経験者の)野球に取り組む姿勢から何かを感じて自分に合うもの、『これだ』と思えることを見つけて欲しいなと思います」 今年9月で35歳。NPB12球団で実績があり、くふうハヤテでも結果を残す田中に声がかかるかどうかは各球団の戦力事情にも左右される。もちろんNPB12球団復帰が最良の答えだ。 「(くふうハヤテに入団したことは)もちろんプラスになっています。どう表現したら良いか少し難しいですが......。間違いなく、貴重な経験になっています」 田中は力強く答えた。 支配下選手登録の期限である7月31日までに、NPB12球団からの連絡は田中のもとに届かなかった。15試合連続無失点、防御率0.00という文句のつけようのない成績を残しながら、6月以降は体調が整わず戦列を離れたことも影響したかもしれない。 これで今シーズン中、NPB1軍の舞台に復帰することは完全になくなった。それでも田中は現役続行を決意した。まずは復調してマウンドに戻ること。そしてチームのために投げることが、田中の目標だ。 (つづく) ●田中健二朗(たなか・けんじろう) 1989年生まれ、愛知県出身。左投左打。2007年ドラフト1位で常葉菊川高から横浜(現DeNA)に入団。2016年には61試合に登板し球団初のクライマックスシリーズ出場に貢献。NPBでは通算16年で通算274試合に登板、14勝13敗1セーブ、64ホールド 取材・文・撮影/会津泰成