「デイリーポータルZ」林さんが読み込むマンガとは? ひとひねりした企画を生む発想はここから…⁉
世の中を俯瞰した目で見ると発見がある! 企画のアイデアが見つかることも
■ [2冊目] 『ムーたち』(榎本俊二:著 講談社:刊) エログロ系のマンガ家の榎本俊二さんだが、このマンガはかわいい絵柄で誰でも読みやすい。子どもが世の中のことで気づいたことをお父さんに話す、というスタイルで構成されている。このマンガも「メタ的な視点がおもしろい」と林さんはオススメ理由を語る。 ┌────────── 例えば、<「人と同じことをしたくない」と言った人が、この瞬間◯◯人いる>というように、この瞬間に自分と同じことをしている人が何人いるかわかる機械を作りたい、という話が出てきます。こうした話も、俯瞰した目で見ているからこその発想ですよね。 「自分が思うほど他人は自分のことを気にしていない」はよく聞く言葉ですが、『ムーたち』では逆に「人のことを気にして、気になったことを書き出してみよう」という話がありました。これもコンテンツ企画のアイデアの出し方に似ているなと感じます(林さん) └────────── 『ムーたち』では、こうした発想の転換を促す話がいろいろ出てくる。 ┌────────── 食べ物の好き嫌いはしない方がいいというのが、一般的な考え方です。でも、ピーマンが嫌いな人は小さな切れ端でも細かく除けて食べているし、玉ねぎが嫌いな人は匂いだけでそれと気づくってすごいですよね。このマンガでは、好き嫌いがある人は食事のたびに五感を総動員している、選ばれたものだけに与えられた天賦の才能をもっているんだから楽しめ!と言うんです。こういう発想の転換をしたいなって、憧れますね(林さん) └────────── 『ムーたち』を読みながら、デイリーポータルZの企画を考えついたりもするそうだ。 ┌────────── 「何もないところで変わったポーズをとると記憶に残る」という話も出てきますが、デイリーポータルZのネタにつながりそうな話だなと思いました。 コンテンツを1つ上のレイヤーから見たり、自分を俯瞰して見てみたり、そういったところがおもしろくてすごいマンガだと思います(林さん) └────────── 確かに、「新しいiPhoneが20万するので代わりに20万を持ち歩く」も、林さんの発想の転換から生まれた記事だろう。