「デイリーポータルZ」林さんが読み込むマンガとは? ひとひねりした企画を生む発想はここから…⁉
マンガをメタ的に捉えた名作。ネタ出しに通じる考え方が盛りだくさん
では、早速1冊目を紹介しよう。 ■ [1冊目] 『サルでも描けるまんが教室』(相原コージ、竹熊健太郎:著 小学館:刊) 「サルまん」の愛称で知られている本書は、スピリッツの連載をまとめたもの。1990年~92年にかけて3巻が出版されたが、特に1巻はメタな話が多くておもしろい。マンガの入門書であり、笑えるギャグマンガでもある。作者である相原コージさんと編集者の竹熊健太郎さんがマンガに登場し、ヒットするマンガについて追究・解説しているのだが、その追究具合がすごい。 ┌────────── どうすればウケるマンガが描けるのかというメタな話をしていて、ジャンルごとのマンガの「型」について研究しています。例えば、「少年マンガには、ヒーローとヒロインとメガネくんというように、登場人物たちに型がある!」「麻雀のルールを知らなくても、麻雀マンガの型にならえば麻雀マンガが描ける!」などのように、型があれば人に伝わることがわかってきます(林さん) └────────── 「型」という考え方は、デイリーポータルZでも応用しているという。 ┌────────── 「ペリーがパワポで提案書を持ってきたら」という記事では、自分がペリー提督になったつもりで日本に開国を促す提案書を作ってみました。これも、よくある提案資料というフォーマット(型)を、別のことに転用した例です(林さん) └────────── 「サルまん」のマンガのネタを考えるという章もおもしろい。ネタのアイデアを並べてみて、ポピュラーかマイナーか、時事ネタか昔から知られているか、すでに使われているかいないかなど、項目ごとに◯×をつけてアイデアを整理している。 ┌────────── この項目ごとに〇×を付けることは、Webコンテンツのネタ(企画)の整理にも応用できますよね。それから、「食欲、性欲、金銭欲に関するマンガはすでにあるので、睡眠欲に関するマンガを描いてみよう」という話も出てくるんですが、これも企画の立て方に通じると思います(林さん) └────────── なお、2006年には、『サルでも描けるまんが教室 サルまん 21世紀愛蔵版』として、全2巻で新しい章も追加されて出版されている。