<袴田巌さん再審>弁護人との接見を録音… 袴田さん捜査の検証結果公表 概要は
1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件で、袴田巌さん(88)の再審無罪が確定したことを受け、静岡県警は26日、袴田さんに対する当時の取り調べが不適正だったとする検証結果を公表した。県警の検証結果の概要は次の通り。 【写真・図解まとめ】58年前の痕跡あちこちに 「袴田事件」の現場のいま ◇静岡県警による事実確認結果の概要 <元捜査員6人とみそ製造会社の元従業員6人など への聞き取りや事件記録に記載された警察の捜査活動の内容を再確認した> ◇自白調書の捏造(ねつぞう)について ・警察の取り調べは深夜にわたり、1日平均12時間の取り調べが連日行われた。勾留の長期化をほのめかして自白を迫るなど供述の任意性が否定されるような方法で、不適正であったと言わざるを得ない。 ◇5点の衣類、端切れの捏造について ・警察官が捏造を行ったことをうかがわせる具体的な事実や証言を得ることはできなかった。一方、捏造がなかったことを明らかにする具体的な事実や証言を得ることもできなかった。 ・事案の重大性にもかかわらず、事件発生当時にみそタンク内の状況を明らかにしておらず、捜査が不十分と言わざるを得ない。 ・捏造が認定された要因の一つは、初期の捜査活動の不徹底にあったことは真摯(しんし)に受け止める必要がある。 ◇弁護士接見について ・取り調べ録音テープにより、弁護人との接見内容を録音したものと思われる音声が残されていることが判明。弁護人との秘密交通権は、被告人・容疑者に保障されるべき防御権の最たるもので、警察がこれを侵すこととなったことは、証拠全ての信用性に疑義を生じさせかねない重大な違法で、県警として重く受け止め、深く反省し今後の適正捜査に向けた教訓としなければならない。