新年度だからこそ、ブラックスーツを考える。礼服だけでなくビジネスまでカバーする「コスパ的考え」は悪いのか?
礼服とビジネスを両立させたいならブラックスーツ一択。でも……
会社でもある程度のポジションに就き、もういい大人だし正喪服は押さえておきたいけど『誰かが死ぬのを待ってる』みたいだから、正直あまり気が進まない…。むしろ、直前でも良い。ただ、周りの幸せは大歓迎だから、礼服の準備はしておきたいってのが本音。
しかし、年にほんの数回しか登場しない礼服は ――現代的に解釈すると―― コスパ悪いし、どうせならビジネスシーンにおいて普段使いできる選択まで考慮し、自然とブラックスーツが候補に挙がってきます。
すっかり中年になったそこのオジサンも、高校卒業して初めてスーツを購入する際に『冠婚葬祭でも着用できるよう まずは黒を』という結論に多くの人が辿り着いたはずで、就職活動のリクルートスーツだってそう。
欧米のビジネスシーンでこそブラックスーツは敬遠されがちですが、ここ日本では着こなしに一家言ある紳士以外、一般層に渡ってはすんなりと受け入れられている印象です(ただただ感覚的で何も考えていない節も否定できないですが……)。
なにせ、川久保玲のコム デ ギャルソンと、山本耀司のヨウジヤマモトが巻き起こした『黒の衝撃(≒カラス族)』の下地もあり、40代オジサンは宮下貴裕によるナンバーナイン直撃世代で、“NOIR期”の洗礼を受け魅了された身として「黒はクール」というイメージもありますから。 スーツの歴史を紐解くとマナー的にはトゥーバッドですが、見た目を引き締める視覚効果はオジサンに『こうかは ばつぐんだ!』し、語弊を恐れずに言えば、もはや平成~令和におけるアパレル全体で最も支持層を広げたカラーですよ黒は、いま一番売れる色(ちなみに車は白)。
ルールを尊重するか、はたまた常識にに囚われることなく現実的な効果を活かすか。両者をディベートさせたら前者は頭が固く、後者は乱暴とも言えなくもないですし、こればっかりは難しいところかもしれません……。
黒スーツのビジネス着用を一切認めてくれない上司にチクチク嫌味を言われようとも、実家を離れて一人暮らしをはじめる若人は家賃や生活費で手一杯で、バカバカ何着もスーツを買えませんしね。