昭和の名曲「木綿のハンカチーフ」北陸のアイドルが発信
「木綿のハンカチーフ」と聞いて懐かしさを感じるのは昭和世代か。シンガーソングライター・太田裕美の4枚目のシングルで1975年12月21日にリリースされ、太田にとって最大のヒット曲となった。累計売上枚数は100万枚を超えるといわれるが、わずか4日遅れで史上最大のシングルヒット「およげ!たいやきくん」がリリースされたため意外にもオリコンチャートの1位は獲得していない。名曲だけに数多くのアーティストによってカバーされてきたが、新たに令和版として北陸・石川県を拠点とするアイドルグループ「ほくりくアイドル部」が世代を超えたカバーに挑むという。なぜいま「木綿のハンカチーフ」なのか。同グループに話を聞いた。
平成生まれのメンバーたち、一から歌詞の意味考えディスカッション
「ほくりくアイドル部」は「北陸発信のスター」を見い出し育成するプロジェクトの総称で、グループは2016年6月にデビュー。キャプテン・松井祐香里は現在、ミス・ワールド2020世界大会の日本代表を選ぶ「ミス・ワールド・ジャパン」ファイナリストに残っている。松井は、平成生まれのメンバーたちの大半は「木綿のハンカチーフ」を知らなかったと明かす。 「みんなで一から歌詞の意味を考え、ディスカッションをして、昔の音楽番組や太田裕美さんの映像をたくさん見るところから始めました。いつの間にかメンバーみんなレッスンに来るたびに『恋人よ~』と口ずさむようになって、大好きな曲となりました。平成生まれの私たちですが、いまコロナなどで世界中が大変な時だからこそ、北陸から“音楽”で元気を届けたいと思います」 また、挑戦中のミスワールド2020を通し「世界中の皆さんにも知っていただけるきっかけとなりたい」と目を輝かせる。
「素直な心で飾らずに歌いつなげたい」とプロデューサー
総合プロデューサーを務める中新賢人氏は、「僕は歌謡曲とJ-POPで育った日本人。『木綿のハンカチーフ』は懐かしい景色であり、人生の中の大切な思い出の一部です」と曲への思いを語る。「この曲には、現代では見失なったり忘れられがちな素朴さがあると思うんです。『ほくりくアイドル部』は生まれたばかりの小さなグループですが、そのぶん素直な心をもって、飾らずに歌いつないでいきたいと思います」 カバーに当たっては、新たな気づきも多いという。 「松本隆さん(作詞)、筒美京平さん(作曲)という天才たちが生んだ楽曲を爽やかな笑顔で歌う、太田裕美さんという存在の大きさ、アーティスト性をあらためて思い知らされました。この曲にめぐり逢えたことへの感謝と、心からの敬意を表してカバーさせていただきたい、との思いが強くなる一方でした」
「ほくりくアイドル部」は今年1月には地元・金沢市文化ホールでワンマンライブを行い1033名の動員を記録するなど、北陸で注目を集めるグループだ。「木綿のハンカチーフ」は10月14日にリリース、同25日には定期公演の生配信を実施する中で同曲を初パフォーマンスするという。 平成生まれの現役アイドルグループのカバーは、果たして人々の心をとらえることができるか。 (文:志和浩司)