大谷翔平のドジャースに新たな”天敵”が…?ポストシーズン前哨戦で見えた「現在地」とは【コラム】
大谷翔平から主役の座を奪ったのは…
この3連戦においては、以下の2つの数字が勝敗を決めたかもしれない。同じ打順、ポジションの選手のものだ。 ・12打数7安打 4本塁打 9打点 5得点 2四球 1盗塁 ・12打数2安打 1本塁打 2打点 1得点 0四球 1盗塁 どちらもこの3連戦での「1番DH」の数字である。上はフィリーズのカイル・シュワーバー選手、下は大谷選手のものだ。 ドジャースが勝利した初戦では大谷選手が本塁打を含む2長打を記録したが、フィリーズが勝利した2試合に限れば、シュワーバー選手が4本塁打を打ったのに対し、大谷選手は一度も出塁できなかった。 この2人の差がそのまま勝敗に直結し、同じ1番DHのシュワーバー選手が大谷選手から主役の座を奪った。 その大谷選手にとって、このシリーズのキーとなる打席が以下だったように思う。2戦目の7回裏2アウト1,2塁で、左腕のマット・ストラーム投手と対戦したものだ。 ストラーム投手は初球から6球目まで高低をつけながら全てフォーシームで攻める。ここで7球目はボール気味のスライダーが来た。やや抜けた感じの比較的甘いコースの投球で、今年大谷選手が高い確率でヒットにしているコースでもある。 しかし、6球続けられたフォーシームの後だったこともあり、タイミングが合わない。スイングのバランスが崩れてボールの下をたたき、高く上がったライトフライに終わった。 ドジャースが敗れた2日間での大谷選手の9つのアウトのうち、ゴロアウトが4、ポップフライが2あった。捉えたゴロの打球は軒並み守備範囲に飛んでいた。フィリーズは、7月の対戦や本塁打を打たれた第1戦での対戦を経て、守備位置も含め大谷選手の研究を進めていた可能性がある。
ドジャースが勝ち進むためにはやはり…
ドジャースはレギュラーシーズンでのフィリーズ戦6試合を1勝5敗で終え、今後に不安を残す結果となった。 この6試合で大谷選手は打率.227、OPS.659に終わり、唯一チームが勝った8月の3連戦初戦を除けば長打はなかった。ただし3盗塁を記録している。まさに「大谷が打たなければフィリーズに勝てない」という結果になった。 フィリーズ戦終了時点での大谷選手の8月の数字は打率.192、OPS.676にとどまっていたが、ミルウォーキー・ブルワーズ戦では2試合連続本塁打を放った。ドジャース全体としてもムーキー・ベッツの復帰後は勝ち星が先行しており、徐々にチーム状態は上向きつつある。 しかし、同地区のサンディエゴ・パドレス、アリゾナ・ダイヤモンドバックスも快進撃を見せており、シーズン中盤までの「独走状態」とは言えないゲーム差まで迫っている。8月はポストシーズン進出圏内の厳しい相手との対戦が多い。今後、山本由伸投手らがチームに復帰する中、ポストシーズンでフィリーズにリベンジを果たしワールドシリーズ出場を果たせるか…これから正念場がやってくる。 「ドジャースのワールドシリーズ進出には大谷選手の活躍が必要」これを証明した8月のフィリーズとの3連戦だった。
ベースボールチャンネル編集部