日本ボクシング史に残る凄いカード…“超ビッグネーム”ロマチェンコに挑む中谷正義…“世紀の番狂わせ”は起きるのか
プロボクシングの元OPBF東洋太平洋ライト級王者でWBO世界同級5位の中谷正義(32、帝拳)が24日(日本時間25日)、米ネバダ州ラスベガスの「ヴァージン・ホテルズ・ラスベガス」で2日後にノンタイトル戦を行う元3階級制覇王者で世界ライト級の3団体統一王者だったワシル・ロマチェンコ(33、ウクライナ)と共に公式会見を行った。中谷は「戦うだけでなく勝たないと意味がない。絶対に勝つ」と勝利宣言をした。この試合はかつてパウンド・フォー・パウンド1位に君臨していた世界最強ボクサーのロマチェンコの復帰戦として世界が注目している一戦。勝者が世界挑戦の権利を得ることになる。立場的には中谷がアンダードッグだが“世紀の大番狂わせ“を演じる準備は整っている。
「戦うだけではなく勝たないと意味がない」
殺気が漂っていた。 チーム帝拳のジャージ姿で会見に出席した中谷は、司会者から「先週、ここで勝った井上尚弥からモチベーションをもらったか?」と聞かれ「同じ日本人が活躍するのは嬉しいです」と答えた。 ちょうど1週間前にWBA世界バンタム級スーパー、IBF同級王者の井上尚弥(28、大橋)が鮮烈のボディショットで衝撃のTKO勝利したのも同じ会場。公式会見の舞台設定も同じだった。 そして、この試合の意味は?との質問に「自分のなかで一番のビッグマッチ。大変うれしい気持ちもある。でも戦うだけでなく勝たないと意味がない。試合の日は絶対に勝つつもりで戦う」と、一言一言を噛み締めるように勝利宣言をした。 司会者は「絶対に勝つと言っているが…」という言葉をロマチェンコにもふったが「(私も当然勝つと考えているから)何も言うことはないよ」と余裕の笑顔をふりまいた。 ロマチェンコは中谷の印象を「彼はタフで背が高くリーチも長い。いいボクサーだ」と語っていた。 司会者が結びつけようとした井上尚弥の防衛戦よりも「凄いカード」と書けば怒られるだろうか。 北京、ロンドン五輪で連続金メダルを獲得し、世界最速で3階級制覇を成し遂げ、パウンド・フォー・パウンド(階級関係なしのランキング)の1位にランクされ、「世界最強」、「ハイテク」、「マトリックス」など、数々の異名を持つロマチェンコの復帰戦の相手に世界挑戦経験のない日本人ボクサーの中谷が抜擢されたのである。 中谷のジムの同僚で屈指の“ボクオタ”でもあるWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太が言う。 「ボクシングの階級はかつてヘビー級(重たい)とライト級(軽い)の2つしかありませんでした。それだけ伝統と歴史のある階級で、しかも相手は、ロマチェンコ。ボクシングファン以外の方々にはわかりづらいかもしれませんが、実力、知名度共にボクシング史に残るボクサーです。これは本当に凄い試合です」 過去に日本人ボクサーが、これほどのビッグネームに挑んだ試合は数えるほどしかない。古くは、元WBC世界ライト級王者のガッツ石松氏が、石の拳、ロベルト・デュランに挑戦した試合から始まり、3階級制覇王者、アレクシス・アルゲリョに挑んだ元WBC世界スーパーバンタム級王者の故・ロイヤル小林氏、近年では、井上尚弥とのリマッチの実現が注目となっている全盛期のノニト・ドネアと戦った元WBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃氏、4階級制覇王者、ミゲール・コットとのWBO世界スーパーウェルター級王座決定戦に挑んだ亀海喜寛氏がいるが、いずれも番狂わせを起こすことはできなかった。