全米メディアも“モンスター”井上尚弥の鮮烈3回TKO勝利を絶賛「最高のボクサーを証明」「ここ数年で最も獰猛なボディ攻撃」
プロボクシングのWBA世界バンタム級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(28、大橋)が19日(日本時間20日)、米ネバダ州ラスベガスのヴァージンホテルズ・ラスベガスでIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28、フィリピン)と指名試合を行い、3回2分45秒TKOで防衛に成功した。左ボディで計3度ダウンを奪っての圧勝。全米メディアは“モンスター”の衝撃勝利をどう伝えたのか。
「真のスターに期待された結果」
CBSスポーツは「井上は、いら立つ場面もほとんどなく、ダスマリナスを3ラウンドTKOで倒した。これはボクシング界の真のスターとして正式にブレークし始めた井上に期待された結果だった。期待された通りにチャンピオンが格下を倒したときは、ほとんど語ることもないが、勝利すれば、それは関係なくなる」と称賛した。 井上がターゲットとするWBO世界同級王者、ジョンリエル・カシメロ(32、フィリピン)とWBC世界同級王者の“レジェンド”ノニト・ドネア(38、フィリピン)との統一戦が、8月14日(日本時間15日)に行われることも電撃決定したが、同記事は、「井上はカシメロとドネアの間で行われる8月14日の試合の勝者との対戦を強く望み、次の試合で、そのビッグマッチをハッキリと求めた」と紹介。 「この戦いはバンタム級で、誰もが認める王者を決めることになるだろう。ドネアと井上は、2019年の年間最高試合を戦っており、ドネアとの再戦でもカシメロとの対戦でも、ダスマリナスレベルの相手との試合よりもはるかに(王者の井上に)ふさわしい試合となるだろう」と続けた。 また「38歳の年齢を感じさせない感嘆すべきドネア」と、カシメロの2人がリングサイドで観戦していたことも紹介。最初に以下のドネアのコメントを掲載した。
「あの場に立っていたこと(2019年11月に井上と対戦)があり、(あのパンチを)どのように感じるか、痛むかが分かる。私は最大の敬意をダスマリナスに払わなければならない。私は立ち上がり続けたが、あれは恐ろしいパンチなのだ。井上は素晴らしい状態に見えた。彼はとても強く、さらによくなったと思った。彼が成長するところを見られてよかった。印象深かった。我々はいつもお互いに尊敬し合っている。彼が成長してきたときは、彼は私を仰ぎ見ていた。我々は、いつも兄弟のような関係で、同時に競い合ってきた。ある人たちは戦うことについて私のことを狂っていると言うこともできるが、私は戦うことが好き。もう一度対戦したい。それが私を押し進め、毎朝起きるたびにモチベーションとなっている。彼との再戦が待ちきれない」。 続けて、もう一人の“宿敵”についても「カシメロ(30勝4敗、21KO)は井上のパフォーマンスを称賛したが、彼が持つチャンスに自信を示し続けた」とし、WBO王者の試合後のコメントも紹介した。 「ダスマリナスは井上に敬意を示し過ぎていたように見えたが、井上を生で見ることができて素晴らしい経験になった。今の時点で私はドネアに集中していて彼との試合に勝てるようにベストを尽くす。その後、井上を片付ける」 SNSで井上を挑発し続けてるビッグマウスのカシメロは、ここでも豪語したようだ。 米ヤフースポーツは「井上がダスマリナスを3ラウンドの獰猛なボディショットで粉砕」との見出しを取り、「我々の目の前でスーパースターが成長しており、その彼が、この数年のボクシング界の試合の中で最も獰猛なボディパンチとともにそれをやり遂げた」と最大級の賛辞を贈った。 記事は「なぜ井上はボクシング界で最も強打を誇るパウンド・フォー・パウンドのパンチャーなのか。なぜ彼はすべてのファイターの中で最高の選手なのか、ということを考える人々が多い理由を彼は今一度、証明してみせた」と称賛。 「井上に弱点は認められない。それでも彼がまだ米国ですでに圧倒的なスターとなっていない唯一の理由は、彼が118ポンド級(バンタム級)だから。米国人がバンタム級に注目を払うのは、(メジャーリーグのシカゴ・)カブスがワールドシリーズを勝つ頻度程度(100年に3度=1907、1908、2016年)だからだ」と、圧倒的な強さを誇る井上が、まだ米国ではスターの階段を上っている途上である理由を注目度の薄いバンタム級という軽い階級にあることを指摘した。