「私だけが味方」人間関係を支配する<マニピュレーター>に注意。陰湿な嫌がらせ<受動攻撃>の代表例は?心理セラピストが解説
◆人間関係を支配する「マニピュレーター」 このような支配をする人を「マニピュレーター」といいます。 精神科医の片田珠美先生の著書『他人をコントロールせずにはいられない人』(朝日新書)にも書いてある通り、人間関係を操作して自分の思い通りに支配する人のことです。 彼らは最初から支配しやすいターゲットを見定めて近づき、孤立させては、あたかも自分が救世主であるかのように振る舞い、ターゲットを心酔させていきます。 その様はまさに、心身ともに侵食していくようなもの。ターゲットは相手の悪意に気づくどころか、心底信頼しきってしまいます。 周りの人が忠告しても耳を貸すどころか、批判する人たちを遠ざけてしまい、ますますマニピュレーター(支配する側)とターゲット(支配される側)の依存関係が強固になっていくのです。 このマニピュレーターと呼ばれる人は、他人に対する共感などはなく、ただ自分の支配欲や自己愛を満たしたい傾向にあります。 そのために、まずはターゲットに心理的に不安を抱えている人を選び、より不安にさせて、親しい人や仲間から孤立させることから始めるケースが多いです。 私たちの脳は不安や恐怖を感じると、まずはその不安と恐怖を取り除いて安心を得ようとします。 そこで「安心できる人物」が目の前に来ただけで、自分の警戒レベルが一気に下がってしまい、相手に対する判断力を失わせてしまいがちです。 これが、悪意を隠して善人のフリをして近づく人間関係操作をする人の特徴です。 騙されないようにするためには、その人が何を言っているかではなく、その人の行動を冷静に判断し、客観視することが大事になります。
◆陰湿な嫌がらせ「受動攻撃」をする人たち 意地悪や嫌がらせをする人の中には、普段は感情を抑圧して「いい人」を演じている人が多い傾向にあります。 そのような人が見えないところで相手にわからないように、悪意を向けてくることが多々あります。 このように表立っては攻撃せずに、見えないようにわからないように嫌がらせをすることは「受動攻撃」と呼ばれています。 「受動攻撃」とは、受け身でいながら攻撃するという意味ですが、表面的には友好的な姿勢をとりつつ、嫌いな相手を陰でおとしめたり、相手の嫌がることを間接的に行うことで、相手の仕事を困らせたり、人間関係を壊そうとしたりする行為です。 そもそもそのような人は、本当に言いたいことを相手には伝えずに、怒りを嫌がらせや意地悪という形で表現してくるので、受け身でありながらも攻撃的であるという表現になります。 相手に嫌われたくないから飲み込んで言いなりになるけれど、その反面相手に敵意を抱いているので間接的に嫌がらせをしてくるのです。 具体的な受動攻撃の代表例は次のようなものが挙げられます。 ・伝えたはずなのに伝えられていない→「わざと伝えない」 ・わざと書類を隠す→上司に恥をかかせる ・メールを既読していながらスルーする→わざと相手に不快な思いをさせる ・頼まれたことをわざと失敗させる→依頼者に恥をかかせる ・約束をしたのに守らない ・「あなたの考えを受け入れます」と言いながら、その考えを否定してくる わかりやすく表現してみると、相手を受け入れているふりをしながら相手を否定したり、間接的に相手を受け入れないという態度や言動をとったりすることです。 私もそのようなケースを多々経験してきましたが、彼らの厄介なところは直接言いたいことを言わずに、態度や行動で、否定、拒否、拒絶を表してくるところです。