柔道・高市未来、引退決断の理由は「世界に挑戦するには難しいなと思った」 五輪3大会連続出場
柔道女子63キロ級で五輪3大会連続出場の高市未来(コマツ)が30日、所属先を通じ、現役引退を発表した。高市はこの日、東京・文京区の講道館で全日本柔道連盟(全柔連)主催のウクライナチームとの交流会にアスリート委員会の一員として参加。取材にも応じ、「現役生活を振り返ると悔しさは少しあるけど、柔道をまた違う目線でしっかりと勉強して見ていきたいな気持ちが今は強い」と心境を語った。 引退を決意したのは今月初旬だという。「(パリ)五輪が終わった時点で気持ちがもう次に向いていなかったところはあったけど、少し時間がたって、まだやりたいかもなというのが少し心にあった。正直、先月まで結構悩んでいた」。ただ、練習の中で「やっぱり頑張れないなっていうところが。もう一踏ん張りがきかない。世界に挑戦するには難しいなと思って決断した」と明かした。 世界選手権で銀メダルを2度獲得するなど、63キロ級を長年に渡って引っ張った。五輪は初出場の16年リオ大会で5位。雪辱を期した21年東京五輪は大会前のけがも影響し、2回戦で敗れた。22年11月に結婚し、田代姓から高市姓に変わった。“三度目の正直”で戦ったパリ五輪も2回戦敗退に終わった。 混合団体では2大会連続の銀メダルを獲得したが、個人戦のメダルには最後まで届かなかった五輪の舞台。「本当に高い壁だった」。しみじみと振り返りつつ、「でも3大会とも、全てをかけて挑んだ。そこに向かっていった過程はすごく有意義な時間だった。苦しいことも楽しいこともたくさんあった。そういう気持ちになれたのは普通じゃできないことなんだなと、今はすごく感じている」と晴れやかだった。 今後はコマツ女子柔道部のコーチに就任する。「サクセスストーリーじゃないけど、成功して終わりたかった。だけどそうはいかなかったので、しっかりとそういった感情や経験をこれからに生かしていきたい」。五輪という舞台にはね返されても立ち上がり、挑み続けた。その経験を指導者として生かし、後進の育成に力を注いでいく。
報知新聞社