チョコはしばらく高嶺の花に、カカオ豆不足が駆り立てる新たな挑戦
(ブルームバーグ): チョコレートの原料となるカカオ豆の不作に伴う価格高騰が、菓子メーカーや原料を扱う企業の頭を悩ませている。収穫量の回復が見込みづらい中、各社は数年先を見据えた仕入れ先の分散や代用材料の拡大に挑んでいる。
ニューヨーク市場でカカオ先物は4月に一時1トン=1万1000ドルを上回り過去最高を更新した。その後調整したが、10日時点では9687ドルと1年前の3倍超だ。チョコレート菓子の価格も上がっている。明治が「きのこの山とたけのこの里」の袋タイプの内容量を約3割減らし、実質値上げしたほか、「チョコボール」で知られる森永製菓もチョコレート菓子を含む49品目について3.3ー18%値上げした。
見通しも厳しい。国際カカオ機関(ICCO)は、2023/24収穫年度(23年10月1日ー24年9月30日)の世界生産量は445万トンと、前期比11%減を見込む。だがこうした状況が、持続可能な形でカカオ豆を調達し、チョコレートを作ろうという動きをさらに後押しする可能性もある。
カカオ豆の価格高騰は、チョコレート業界にとって「大きな転機だ」と話すのは、伊藤忠商事のカカオ・ゴマ課長の山田恵公氏だ。同氏によると、安定供給を望む一部の大手菓子メーカーからは、カカオ豆の調達地分散を求める声が上がり始めている。
世界銀行によると、日本が輸入するカカオ豆の約75%はガーナ産だ。苦みや酸味が少なく「日本人の味覚に合っている」ためだと日本チョコレート・ココア協会の藤田康子事務局長代理は説明する。
だが、世界のカカオ豆生産の半分以上を占めるガーナと隣国コートジボワールでは供給減が見込まれる。ICCOは2023/24収穫年度にガーナで前期比11%減、コートジボワールで同20%減と予想する。日本貿易振興機構(JETRO)は豪雨が農作業や病気のまん延、運搬作業に影響を及ぼしていると背景分析する。
カカオ農園の減少や密輸、病害などの問題も深刻で、山田氏は「ガーナ1国に頼るのではなく、もっと分散させていかなければいけない」と語る。ナイジェリアやカメルーン、風味は異なるがエクアドルやペルーへのシフトも考えられるという。