チョコはしばらく高嶺の花に、カカオ豆不足が駆り立てる新たな挑戦
カカオやナッツなどの輸入販売を行うコンフィテーラの今村雄紀社長も、今年はガーナ産カカオ豆100%のチョコレートを供給していたメーカーの間で他の産地をブレンドする動きが広がっていると話す。
原料の多様化
産地の分散に加え、原料を多様化する動きも現れている。不二製油グループ本社はカカオバターの代替として使用される植物性油脂をパーム油から製造するが、今後は代用油脂への需要が高まると見込み、生産量を15ー20%程度増やす計画だ。
チョコレートは、カカオ豆から皮などを取り除き磨砕したカカオマスに、カカオ豆に含まれる油脂分であるカカオバター、ミルクや砂糖などを混ぜ合わせて製造する。不二製油Gが製造するチョコレート用の植物性油脂は、カカオバターの口溶けを再現することが可能だ。融点を調節すればパリッと割れる食感やチョコレートの劣化防止にもなる。
酒井幹夫社長は、カカオ豆価格の高騰で植物性油脂を使用するコンパウンドチョコレートへの評価が高まるとし、「大きな機会になる」と決算会見で述べた。
秋に値上げも
とはいえ、カカオ豆の価格高騰は容赦なく、数カ月後には再び小売価格に反映される可能性も指摘される。伊藤忠の山田氏や協会の藤田氏は、秋ごろの値上げを予想する。菓子メーカーは半年から1年先の原料を確保するため、9月頃に価格転嫁せざるを得なくなるからだ。
持続可能なチョコレート生産に向けて、新技術への投資も進む。明治ホールディングスは、カカオ細胞の培養技術を開発する米スタートアップ、カリフォルニア・カルチャードへの出資を決めた。記録的な先物価格の上昇と供給逼迫(ひっぱく)は、チョコレート生産技術への新たな挑戦を企業に催促している。
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Akemi Terukina, Alfred Cang