ハード・ソフト両面で通学路の見守り強化 危険を察知する能力を養う 八街事故3年㊦
千葉県八街市での飲酒運転のトラックによる児童5人死傷事故を受け、県内では各方面の協力で通学路の安全確保が徹底されてきた。それでも登下校中に子供が巻き込まれる事故は相次ぐ。悲惨な事故を防ぐには子供たち自身が危険を察知し、身を守ることも大切になる。 【グラフで見る】歩行中の小学生が遭った千葉県内の交通事故の推移 ■6~7月に事故増加 「しっかり前を見て歩きましょう」 24日朝、佐倉市立寺崎小近くの交差点で、佐倉署員が登校中の児童に優しく声をかけていた。 県警は今月から、県内全域で見守りを強めている。通学路での児童の交通事故が続くためだ。昨年だけでも歩行中に交通事故にあい、けがをした小学生は179人いた。半数近く(81人)が登下校中だった。 特に増えるのが6~7月だという。県警交通総務課の幹部は「低学年の子供たちが新学年の生活に慣れ、歩く際も友達と話すようになり、注意が散漫になってしまう可能性がある」と分析する。 ■危険箇所の見える化 自治体も事故防止に懸命だ。市原市は「豊田都市交通研究所」(愛知県)などと連携し、通学路の危険箇所を地図上で示す「ヒヤリハットマップ」を作った。 市内の全小中学校の児童や生徒に保護者も協力し、計約2万9千人から重大事故につながりかねない体験談を集め、どこに危険が潜むのか「見える化」した。 道路の白線を遠目から分かるように塗り直すなど、「ハード面」の改善と合わせ、「ソフト面」での対策の充実も不可欠のようだ。 ■日ごろの交通安全教育 八街市は児童にどんな交通安全教育を施すことが効果的か模索を続けてきた。 昨年10月、市立八街北小では2年生の児童を対象に、見通しの悪い交差点を想定し、正しい横断歩道の渡り方を学ぶ交通安全教室の実証実験が行われた。保護者にも参加を求めた。 実際の通学路にカメラを設置し、横断前の左右や後方確認をする割合にどんな変化が出たか確認した。すると、交通安全教室を行った後の方が、実施前よりも安全確認の実施率が大幅に上がった。 こうした児童の行動の変化は交差点を通りかかるドライバーの意識にも好影響を与えたようだ。登下校時の交差点での車の危険な「急減速」も減ったことが確認されたという。