旗手怜央が振り返るわずか4年間の「FW時代」だがそれがセルティックでのゴール&アシストに生きている
【今はFWの気持ちがわかるのも強み】 インサイドハーフが主戦場となった今は、FWの気持ちがわかることも強みになっている。オフ・ザ・ボールの時間が長いFWは、脚光を浴びないところで何度も駆け引きをし、動き直してもいる。 走るたびにパスが出てこなければ、彼らも人間だから走るのを躊躇してしまったり、走るタイミングが遅れてしまったりする場合もあるだろう。だから、中盤でプレーする今は、仮に五分五分、もしくは成功率が難しくても、前線にパスを出すことがある。動き出していたFWに対して、「見ているよ」「わかっているよ」というメッセージを込めて。 クロスも、きっとこのタイミングでは合わないだろうと思っていても上げるのは、次への布石にするためだ。その瞬間で見れば、パスが合わなかった、クロスが合わなかったという結果に見えるが、90分を考えると、FWはあのタイミングで出してくれたから、「次も来る」と信じて走ってくれる。それが次のチャンスでのゴールにつながるし、その試合だけにとどまらず、さらに次の試合でのゴールにもつながっていく。 FWはボールのないところで、1回、1回、相手や状況を見て考えて動き続けている。動き出しているところに合わせられないのは、パスの出し手の責任。だから、彼らの動きを見逃さずに、欲しいタイミングで適した場所にパスを出せる選手になりたいと思っている。 インサイドハーフでプレーする今、ゴールやアシストといった結果に目を向け、そこを自分が求められているのも、FWとしてプレーした4年間があったからだ。 自分自身も振り返ってみて、「わずか4年間だったのか」と驚いたが、自分がずっとFWだったと錯覚するほど大学時代は強烈で、今の自分にとって確かな財産になっている。 後編「旗手怜央の大学時代 プロになるプレーを教えてくれた先輩」につづく>> 「旗手怜央の欧州フットボール日記」連載一覧>>
text by Harada Daisuke