「岸田の置き土産」防衛増税を巡る石破政権の迷走ぶり、そもそも本当に大幅増税は必要なのか
■ 「安全保障の論客」なのに説明しない防衛増税の具体策 来年度予算編成を巡るニュースが飛び交う時季になってきた。そこで目に付いたのが防衛力強化に向けた「防衛増税」の議論である。 【表】これが防衛財源確保のための姑息な増税方針だ! これは岸田文雄前政権の置き土産で、令和9年度までの5年間で防衛費総額43兆円を確保するという方針の下、令和9年度に法人、所得、たばこ三税で1兆円強の財源を捻出する計画とされている。内訳は法人税6000~7000億円、所得税2000億円、たばこ税2000億円だ。 それがここへきて政府・与党内で所得税について増税の先送りや撤回を検討しているとの報道が流れたのだ。103万円などの「年収の壁」を巡り所得税の減税が議論される中で、防衛費増税の財源として所得税増税というのでは、とてもじゃないが国民の理解は得られないということらしい。 つい先日は、たばこ税について税率が低い加熱式たばこの税率引き上げを8年度に先行するとの案が流れたばかり。一体どうなっているのか。一連の報道を見る限り、政府与党のやり方はあまりにも姑息で、とても国民の納得を得られるものではない。 そもそも、なぜ大幅な防衛増税が必要なのか。退いた岸田前首相に代わり、石破首相自らの口から明確に国民に説明すべきだ。「安全保障の論客」というのであればなおさらだろう。所信表明演説には「防衛力の抜本的強化」についての言及はあったが、増税額や強化設備についての具体策はなかった。 封印している「日米地位協定の見直し」「アジア版NATO創設」についても明確には触れずじまい。「防衛力の抜本的強化」の中では、〈沖縄県を含む基地負担の軽減に取り組む〉〈駐留に伴う諸問題の解決にも取り組む〉と抽象論に過ぎない。きちんと持論を展開した上で、だから9年度にはこれだけの防衛増税が必要だということを国民に分かりやすく説明するのが先決ではないか。 さらに防衛費増税の財源のひとつに、たばこ税があがっているが、そのおかしさを国会議員もメディアも誰も追及しない。これは不思議である。