ロシアはトランプ氏のウクライナ停戦案を拒否する-プーチン派有力者
(ブルームバーグ): ロシア保守派の大物実業家で大統領府とも深い関係を持つコンスタンチン・マロフェーエフ氏は、トランプ次期米大統領が仲介するいかなるウクライナ停戦案も、ロシア政府は拒否するだろうと述べた。
金融グループを率いるオリガルヒ(新興財閥)のマロフェーエフ氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、ウクライナ中立化に法的拘束力を持たせることを含む追加的な譲歩をロシアは求めているため、合意には応じないだろうとの考えを示した。ただ、トランプ氏と最終的に合意する可能性は「五分五分」だとも語った。
マロフェーエフ氏は米国など西側の制裁対象となっている。
トランプ氏はウクライナでの戦争を24時間以内に終わらせると公約。だが、容易かつ迅速な合意にロシアが応じる意思はほとんどない兆しが積み上がっており、マロフェーエフ氏の発言もそれを裏付ける。同氏はプーチン政権の当局者ではないものの、ロシア強硬派の代表的な論客で、大金を投じて傘下のテレビ局「ツァールグラード」などで同国政府の主張を流布している。
マロフェーエフ氏はドバイでのインタビューで、「停戦はロシアが待ち望んでいる贈り物ではないと、米国の次期政権が理解することは重要だ」と述べ、「現時点での停戦はウクライナと米国にとっては有益だが、われわれにとっては何の得にもならない。ロシアが勝利しつつあるからだ」と続けた。
ロシアはウクライナ東部でじりじりと進軍を続け、過去数週間に拡大した占領地は今年のどの期間よりも大きかった。ロシア大統領府に近い関係者2人は先週、ブルームバーグに対し、同国が現在注力しているのは占領地の拡大だと指摘した。西側兵器によるロシア領内への攻撃を許可するなど、最近の米国のウクライナ支援措置が戦況を変えることができるかは不透明だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11月29日、ウクライナが支配する領土だけを北大西洋条約機構(NATO)の安全保障下に置くことと引き換えに、ロシアとの停戦に応じる用意があると示唆した。この発言をマロフェーエフ氏は歓迎。発言は「転換点」だと指摘し、ゼレンスキー氏は全ての領土を奪還することなく戦争を終わらせる選択肢を排除していないとの見解を示した。