3代目 ポルシェ・パナメーラへ試乗 電動技術ナシでも滑らかで高速! 洗練性との見事な調和
電動技術なしでもパナメーラは滑らかで高速
大陸を冒険的に横断するグランドツアラーらしい、刺激的な名前が与えられたポルシェのパナメーラ。同時に、4ドアの911と表現されるほど、その2ドアクーペと印象が重なることも特徴だろう。 【写真】電動技術ナシでも滑らかで高速! ポルシェ・パナメーラ 競合のスポーツサルーン 最新タイカンも (151枚) しかし近年は、同クラスに属するバッテリーEV、タイカンという新しい存在がある。英国では売れ行きでも上回っている。内燃エンジンのスポーツサルーンを972型の第3世代へ進化させるうえで、この存在が小さくない影響を与えたことは明らかなようだ。 初試乗となったのは、2024年3月のスペイン。今回は、グレートブリテン島の傷んだアスファルトで、じっくり仕上がりを確かめたい。暑い夏でも雨が多いこの土地は、クルマにとっては手厳しい環境といえる。 ボディサイズは、全長5052mm、全幅1937mm、全高1423mmと、相変わらず小さくはない。車重は、非ハイブリッドで後輪駆動の素のパナメーラでも、1885kgある。 とはいえ、2.9L V6ツインターボエンジンの最高出力は354ps。最大トルクは50.9kg-mと太い。ブースト圧の上昇に加えて、点火タイミングと燃料噴射量の最適化により、従来から23ps強力になった。四輪駆動のパナメーラ 4にも、この仕様のV6が積まれる。 電動化技術がなくても、パナメーラは滑らかで速い。アクセルペダルに対する反応は即時的。ポルシェへ期待する通り、洗練度も高い。
エアサス標準装備 動的な特性の幅広さに唸る
市街地を走れば、車内は静か。郊外の道を飛ばし出せば、心地良いスポーティなサウンドが届き始める。 8速デュアルクラッチATは、信じられないほど仕事が流暢。ユニット任せの変速でも、ステアリングホイール裏のパドルを弾いても。 パナメーラの割に、パワー感は控え目かもしれない。0-100km/h加速は5.1秒で、最高速度は271km/h。遅くはないが、豊かな余裕を誇るともいえない。だが、むしろ筆者はこのくらいがちょうどいいと思う。 リラックスした運転姿勢を取れる車内と、シンクロするからだ。SUVより低い着座位置も好ましい。多くの人の嗜好が、カイエンやマカンへ移ったとしても。 新世代のパナメーラで特徴となる技術が、標準装備になったエアサスペンション。圧縮と伸張を個別に調整できる2バルブダンパーが組まれ、減衰特性の幅が広げられている。実際、この足まわりは見事に機能する。 グレートブリテン島の荒れたアスファルトを、ポルシェ・アクティブサスペンション・マネジメントは見事に処理。低速域でも、穏やかな乗り心地を実現している。 多くのエアサス仕様のモデルと異なり、路面から浮いた印象がないことも強み。確かな接地感とフィードバックで、ドライバーへ運転する自信を与えてくれる。 ステアリングの反応も同様。紛うことなき、ポルシェのそれだ。適度な重み付けと、抜群の精度を得ている。ドライブモードを切り替えれば、パワートレインとステアリング、サスペンションが明確に変化し、動的な多様性にも唸る。