高橋海人主演「95 キュウゴー」ドラマの映像✕小説の描写で解像度が一気に上がる! 90年代の青春を小説で味わう
推しが演じるあの役は、原作ではどんなふうに描かれてる? ドラマや映画の原作小説を紹介するこのコラム、今回は高橋海人くんが90年代を駆け抜けるこのドラマだ! 【写真を見る】「ほんとに95年のものに見えてくる」 「髙橋海人」と「中川大志」が花火を楽しむショット
■高橋海人・主演! 「95 キュウゴー」(テレビ東京・2024)
37歳の広重秋久は、高校の後輩という女の子から取材の依頼を受ける。1995年をテーマにした卒業制作のため、当時高校生だったOBに連絡をとっているのだという。彼女は当時、秋久が渋谷の“スーパー高校生”のひとりとして掲載された雑誌を持っていた。それは秋久にとって必死に駆け抜けた青春の日々だった──。 という導入部から1995年の回想に入っていくのが、早見和真の原作小説『95 キュウゴー』(角川文庫)だ。1995年3月20日、地下鉄サリン事件発生。高校生だった秋久、通称Qは、1月の阪神淡路大震災に続いて起きたこの大事件に大きな衝撃を受ける。そんなとき、大物政治家を親に持つ同級生の鈴木翔太郎から自分たちのチームに入らないかと声をかけられた。ヤクザの息子のレオ、ケンカの強いドヨン、ムードメーカーのマルコという派手で個性的な面々の中に、どうして何の取り柄もない僕が……? だがQは彼らとともに過ごすうちに、少しずつ変わり始める。 95年の渋谷を舞台に、高校生たちが路上でタバコを吸い、ビールを飲み、殴り合いのケンカをする。自分たちの決めたルールには頑固で、仲間を大切にして、やられたらやりかえす。何かでかいことをしたい、高校2年の夏を、冬を、特別なものにしたい、でも何をすればいいのかわからない──そんな若者たちの足掻きと暴走を描いた青春小説だ。キュウゴーとは「Q、GO!」のことでもある。それが20年後に大人になったQの回想として語られる。 Qを演じるのは高橋海人。翔太郎をはじめとするチームの面々は、中川大志、犬飼貴丈、関口メンディー、細田佳央太が固める。原作の「現在」は20年後なのに対しドラマでは29年後であること、現在の秋久に取材を申し込んだのが後輩の高校生ではなく音楽ライターになっていたこと、地下鉄サリン事件の日にQが花を持って現場に赴いたのはドラマオリジナルで原作にはないこと、ドラマではQが持っていた『ノストラダムスの大予言』は原作ではセイラ(松本穂香)の持ち物だったこと、ドヨンのアイデンティティの問題、Qとセイラのアレがナニな場面は原作では実は成し遂げられずに終わっている(わかるね? )ことなど細かい違いはあるが、95年パートは概ね原作通りだ。 違うのは現在のパート。今のところドラマでは安田顕さん演じる大人になったQと桜井ユキさん演じる音楽ライター新村の会話のみだが、原作ではこの間に数日が経過し、Qが昔を思い出して髪を金髪に染めたりするのだ。金髪の安田さんが見られるかと思ったのだがやらないのかな? そして原作ではさらに、大人になったチームのメンバーが勢揃いするのである。いやこれ、見たいなあ。それぞれ誰が演じるのか想像するだけでも楽しい。というか、原作では現在のQたちは37歳という設定なので、ドヨン役の関口メンディーさん(33歳)はむしろ現在の方に近かったりするんだが。