記憶の向こう側をくすぐる中毒性のある作品 トレーディングミュージアムで展示中のミナミリョウヘイが語る創造の原点
画家、造形作家、映像作家、写真家、ミュージシャン、ダンサーなどさまざまなジャンルをシームレスに活動するミナミリョウヘイの大型インスタレーションが、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のコンセプトストアであるトレーディング ミュージアム コム デ ギャルソン(以下、トレーディングミュージアム) の2店舗で開催している。期間は11月25日まで。ミナミは、記憶や感覚の質感に注視し、絵画や彫刻、映像、音楽など多様な要素で空間を構成するインスタレーション作品を軸に活動してきた。CDやレコードジャケットのアートワークを手掛けながら、自身もDJやコンテンポラリーダンサー、音楽家としてアンチボディズ・コレクティブ(ANTIBODIES Collective)に所属。さらにはオルタナティブレーベル「ア ナイスフォーム(A NiCE FORM)」を主宰する。今回は最新作のインスターレーションの制作背景から、縦横無尽に活動を続ける思考の軌跡や見据えるこの先を探る。 【画像】記憶の向こう側をくすぐる中毒性のある作品 トレーディングミュージアムで展示中のミナミリョウヘイが語る創造の原点
WWD:ペインティングや映像作品、立体作品、ミュージシャン、ダンサーと幅広く活動されていますが、モノ作りを始めたきっかけを教えていただけますか?
ミナミリョウヘイ(以下、ミナミ):小学校の頃に漫画をトレースするのが好きで、そこから何かを描いたりしていましたね。自主的に何かを作った記憶は中学生の頃。 “作品“という意識はないですけど、岡先生っていう美術の担当に自分で作ったあれこれを見せるのが好きでしたね。ある時、3階の美術室の窓から階下のケント紙に向けて絵の具を適当に垂れ流していたんですけど、ベチャベチャと溜まったものを撮影したり掲げたりして遊んでいた時に「これじゃないか」って思ったことが創作の始まりだと思います。言葉にしづらいですけど自分で感じたことを全部混ぜたジュースみたいな感覚でした。
WWD:意図して何かを作るというより、遊びの延長で出来上がったんですね。