飲みに誘われただけで「きっと私を好きに違いない」と勘違い…婚活沼にハマる女性に共通する残念な思考法
■一夜を共にしたのに… A美さんは、商社に勤める42歳。海外部門でキャリアを積んできて、仕事は楽しんでいた。人によって態度を変えない正直さがA美さんの魅力で、上司からも部下からも気軽に声をかけられるタイプ。 そんなA美さんは、同じチームにいる後輩男性のことが気になっていた。年齢は13歳下だが、そう思えないほど成熟していて、頼りになる。仕事帰りに食事に行くこともあるが、映画や音楽の趣味も合うから話が尽きない。 あるとき、A美さんは彼と二人で海外出張に出かけることになった。仕事を終えて帰国する日の前夜、二人はベッドを共にした。二人とも酔っていて、なりゆきだったとはいえ、「誘ってきたのは彼のほうだったと思う」とA美さんはいう。その出来事をきっかけに、A美さんの気持ちは大きく変化した。彼を好きだと自覚したし、てっきり彼もそう思ってくれていると思った。 しかし、帰国してからも彼の態度は変わらない。これまでと変わらず「信頼しているいい先輩」として接してくる。二人で食事をしたときに、冗談めかして「私とつき合いたいの?」と聞いてみたが、やはり冗談めかしてやんわり否定された。 「失恋してしまいました」と嘆くA美さんだったが、私からみれば、失恋も何も、まだ恋は始まってもいない状態だ。 ■令和に「暗黙の了解」は存在しない M子さんとA美さんに共通しているのは、相手の行動から、勝手に「私のことを好きに違いない」と思い込んでしまったことだ。 結婚相談所で出会った相手であれば、二人きりでお酒を飲みに行くとか、ベッドを共にするという行動は、「結婚を前提におつき合いを深めたい」という意思の表れだといえる。 しかし、独身の人みんなが婚活をしているわけではない。性別を問わず、楽しくお酒を飲むのが好きな人もいるし、交際を前提としない肉体関係を望む人もいる。恋愛観や結婚観が多様化している社会では、「暗黙の了解」は存在しないと考えていい。 自分の意向も相手の意向も、行動から推測するだけでは誤解が生まれるばかりだ。 だからこそ、言葉でお互いの意向を確かめ合うことが必要だ。 M子さんは、二人で飲みに行ったときに「彼女はいないんですか?」と確認すればよかったし、A美さんは、彼から誘われたときに「つき合うつもりがないのに、こういうことはできない」と伝えるべきだっただろう。 もちろん、M子さんやA美さんに相手とつき合いたいという意向がなく、「一緒に楽しいお酒を飲めればいい」「一夜だけの関係を楽しめればいい」と思っているなら別だ。せつない片思いに浸るのも、「もしかして、彼は私のことが好きなのかも」というふわふわした関係を楽しむことも、個人の自由だ。 肝心なのは、自分はどうしたいのかをはっきりさせること。そうすることで、だったらどうするのかも自ずと決まってくる。お付き合いや結婚をしたいなら、相手の意向を確認したり、ときには思いを伝えたり……うまくいけばハッピーだし、うまくいかなかったとしたら、次なる相手を探すしかない。 妄想や思い込みの世界に止まっていると、現実はなかなか変わらないため、モヤモヤした期間を多く過ごすことになる。