菊地吉正の【ロレックス通信 No.266】|シードゥエラーの現行中古でたまに見かける“ノークラウン”って何?
今回は「2年ぶりに調べた。定価との差が最も少ないモデルとは? 価格差トップ14」(関連記事参照)と題して先週取り上げた国内定価との価格差ランキングで、最も価格差が少ないモデルの第3位となったシードゥエラーに注目してみたいと思う。 【画像】新旧シードゥエラー3世代の違いを写真でチェック! 現行のシードゥエラー、Ref.126600がリリースされたのは、シードゥエラー誕生50周年にあたる2017年。現在の基幹キャリバーである3200系自動巻きムーヴメントがステンレスモデルとして初めて搭載されるなどフルモデルチェンジでの登場だった。 見た目にも “SEA-DWELLER”表記のレッドプリントや、往年のミラーダイアルを彷彿とさせるグロス仕上げの文字盤など、60年代の初代シードゥエラーの一部モデルに見られたディテールが再現されて話題を呼んだ。 ただ、新たに設けられたサイクロップレンズについては、シードゥエラーのプロ仕様らしさがなくなったとして評価は分かれた。 ケースサイズ43mm、厚さ15.5mm、そして重さは約195gと以前のモデルに比べるとひとまわり大型化されたため、確かに堅牢性は高まったかもしれないが、普段使いという点からするとより扱いにくい大きさになったことは否めない。
それゆえユーザーも限られてしまうからだろう、サブマリーナーデイトよりも国内定価で比べると43万100円高いシードゥエラーだが、実勢価格で比較するとほとんど変わらない。その意味では、もしこの大きさでも問題ないという人にとっては、シードゥエラーはかなりのお買い得なモデルということができる。 さて、見出しにも書いたが並行輸入店のECサイトで販売されている中古の現行シードゥエラーを見ると、説明の中に「ノークラウン(MK1ダイアルとも呼ぶ)」という表現をたまに見かけることがある。これは文字盤6時位置にある“SWISS MADE”表示の“SWISS” と“MADE”の間に2019年からロレックスのシンボルであるクラウンマークが新たに設けられるようになった。 つまり「ノークラウン」とはそのクラウンマークが付く前の17年から18年頃までと初期に製造された個体のことを指しているというわけだ。そのため2年ぐらいしか製造されなかったうえに、サブマリーナーデイトのように一般的なモデルではないためそれほど売れていないとすれば、タマ数自体が少ないということになる。 ということで実勢価格を調べると、クラウンマークがあるタイプは180万円台から流通しているものの、ノークラウンは210~230万円台。やはり高めで流通しているため、中古を狙う際は覚えておくといいだろう。 文◎菊地吉正(編集部)
菊地 吉正|パワーウオッチやロービートなど時計専門誌の発行人兼総編集長。時計ブランド「アウトライン」も展開。ロレックス通信連載