なぜ「20代男性Xユーザーの未婚率」は異常に高いのか…「収入もなければ恋愛経験もない」あまりにつらい特徴
■インスタをやってもあげる写真がない… 男性の側からすれば、「経済的満足度」が低い環境下で、交流や恋愛に回すお金もなく、行動をすることもないから、インスタをやったとしてもあげる写真がないという状況があります。 このように、同じX利用者の未婚率が高いといっても、男女では特性の違う者同士が混在していると言えます。 今回は、Xとインスタ利用者の比較だけをしていますが、ざっくり結論づけると、「単独内的思考派のX」と「集団外的行動派のインスタ」の違いであることがわかります。X利用者が恋愛や結婚ができないというよりも、男女ともに「誰かと一緒より一人が好き」という割合が高く、そもそも恋愛や社交にあまり興味を感じないタイプが多いのでしょう。加えて、学生時代に「チームスポーツの部活をしていない」男女ほどX利用者が多く、中高生時代の対人環境がその土台を築いているのかもしれません。 もうひとつ、全体的に、恋愛充実度は仕事の充実度と強く相関しており、これは現代の恋愛や結婚が競争原理にとりこまれているという面も浮き彫りとなりました。本来「勝ち負け」ではなかったはずの恋愛や結婚が、競争の末に勝者だけが得られるものとなっているのです。 ■強者男性にとってインスタは「プレゼン」なのか 特に、男性は結婚相手として選ばれるためには当然のように経済力が求められます。婚姻減とはいえ、経済力上位3割の婚姻数は減っていません。激減しているのは残り7割の内の主に中間層だけ。つまり、稼ぐ能力競争に勝った上位層だけが結婚できているのです。加えて、最近の男性は容姿力も家事育児能力も求められます。そう考えると、インスタ上で自分の映えた日常生活や盛れた写真をアップすることは、ある意味「競争に勝つためのプレゼン」なのかもしれません。 しかし、そんな事を続けていてSNS疲れに陥る人がいるように、そんなあれこれ能力を求められ、競争に勝て、アピールをしろと言われてしまうと、撤退したくもなるでしょう。 恋愛や結婚が、受験や就活同様の勝ち抜き合戦の様相を呈しており、そんな過酷な競争世界から一歩引いた独身男性は、自分だけの趣味や自分アピールではない社会や有名人の話題ができるXという避難所に集まると考えることもできます。 もちろん今回の分析だけですべてを結論づける気もないですが、利用しているSNSによって違いがあることは面白い結果です。いずれにせよ、SNSは現代の生活に不可欠なツールとなっており、自己の環境を広くも狭くもしてしまうものであるので、それだけに唯一依存することなく、上手な付き合い方をしていくべきでしょう。 ---------- 荒川 和久(あらかわ・かずひさ) コラムニスト・独身研究家 ソロ社会論及び非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。海外からも注目を集めている。著書に『「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、『結婚しない男たち』(ディスカヴァー携書)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(中野信子共著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。 ----------
コラムニスト・独身研究家 荒川 和久