「庭は南向きに」はもう古い!?家を建てる前に知っておきたい「庭づくりのQ&A11」。建築家と造園家が素朴な疑問に答える
3 庭をオーダーする際、 エントリープライスの目安は?
敷地の広さや条件、優先順位次第であるとはいえ、やはりコストは気掛りな点。 「オーナーの意向が多様なので目安を出すのは難しい。あらかじめ建築とは別に予算組みをすること」(建築家・松山将勝さん)とアドバイス。 前田圭介さんは「敷地が1 0 0坪程度の場合は総予算に対しての造園工事費は約5~10%。数百坪の広い敷地はランドスケープの比重が大きいので15%くらいになるケースも」と目安を回答。 「最低300万円くらいはみておく」(建築家・谷尻誠さん)、 「別荘は500万円くらい予算計上することが多い」(建築家・高取愛子さん)という具体的な数字も参考に。
4 構想段階またはオーダーの際に 決めておいたほうがよいことはありますか?
「鑑賞用か居場所か、庭に何を求めるのかを決めておくとスムーズ」(建築家・小川博央さん)、 「好きな庭、草花・樹木など、統一感はなくてもいいので写真を集めておくとイメージが共有しやすい」(建築家・前田圭介さん)と、家づくり同様、イメージや用途が明確なほうが計画は進めやすいようです。 また「建築と庭は切り離せないので、理想の暮らしや空間を伝えていただければ、その延長線上で建築家が空間に合う庭づくりを提案します」(建築家・松山将勝さん)。 谷尻誠さんは「庭をつくるということは手がかかるもの。そこに向き合えるかどうかをいま一度考えて」と、心づもりにも言及。
5 庭はどの方角につくるのが望ましいなど、 ルールやセオリーはありますか?
日当たりのよさ、明るさを重要視する日本では、庭を配置する方角も気になるところ。 「北側の庭は、直射日光では生まれない均質な光による静かな庭がつくれるのが魅力」(建築家・小川博央さん)。 「方位への固定観念はなくし、土地のポテンシャルを最大限に引き出すことを考える」(建築家・松山将勝さん)、 「東西南北どの方位でも好ましい庭をつくることができます。方角に合う樹木を選ぶなど、方角や敷地に応じて考えれば問題ない」(建築家・前田圭介さん)。 「庭とリビングが南向きならリビングに影が落ちるし、北向きの場合は明るい庭を眺められる。それぞれの特徴があるのでそれを理解したうえで、何を選択するかが大事です」(建築家・谷尻誠さん)と、全員一致で“方角のよしあしはない”との答えが。 方角よりも、ライフスタイルや好みを優先しながら相談しましょう。