「税金対策」以外にもメリットあり…〈年収800万円超〉なら“ひとり社長”がおすすめなワケ【税理士・公認会計士の助言】
税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏は、個人事業主がタイミングよく「法人化」することでさまざまなメリットが受けられるといいます。今回、法人化する際の「ベストなタイミング」と、法人化による「いくつかのメリット」を具体的にみていきましょう。 職業別「平均年収」ランキング…<令和4年賃金構造基本統計調査>
法人化することで得られる「7つ」のメリット
――普段、わたしは法人だけでなく個人事業主から節税の相談を受けることもよくあるんですが、個人での節税にはどうしても限界がありますよね。 黒瀧氏(以下、黒)「そうですね、法人を設立して“ひとり社長”になることで、節税可能な範囲が大幅に広がります。また、節税以外に非常にも重大なメリットがついてきます」 ――どんなメリットですか。 法人化する「節税以外の」メリット 黒「それは、『社会的な信用』です。個人よりも法人のほうが信用度は高いですし、金融機関から借入を行ったり補助金を申請したりする場合に有利です」 ――たしかに、取引先を法人に限定している企業も結構ありますし、コロナ禍のような不測の事態が起きた場合、資金調達できるかどうかは非常に重大ですよね。 黒「そのほか、採用面でも、個人事業より法人化したほうが優秀な人材を確保しやすくなりますよ」
法人化するベストタイミングは「800万~900万円」
――法人化するかどうか迷っている個人事業主は、いまの事業規模だと、法人化で得られるメリットより、法人化することでかかる費用や手間が上回ってしまうんじゃないか、ということを心配している人が多いです。目安として、利益がどのくらいになったら法人化を検討すべきでしょうか? 黒「個人事業主としての利益が800万円~900万円くらいになったら、法人化を検討するベストなタイミングといえます」 ――それはなぜでしょうか? 黒「個人事業主として利益を伸ばしていき、ある一定の利益を超えると、法人化したほうが税金を抑えることができます。 日本の所得税は累進課税ですが、税率は900万円を超えると33%となるため、個人事業主としての利益が800万円~900万円くらいになったら、法人化を検討するといいでしょう。 それ以下の利益でも節税は可能ですが、できても数万円程度です。したがって、法人化の手間と比較するとあまりメリットはないかもしれません」 ――法人化の手続きは書類の作成など大変で面倒な作業が多いですよね。もし手伝ってほしい場合、誰に相談したらいいんでしょうか。 黒「法人化の手続きを相談できる専門家には、司法書士や行政書士、税理士、社会保険労務士がいます。それぞれ専門領域によって依頼できる内容が変わってきます。こうした専門家に相談するといいでしょう。