「化石燃料を宣伝」、米団体が電通・JERAなど名指しで批判
広告に関する米国の団体「クリーン・クリエイティブズ」はこのほど、広告・PR代理店と化石燃料企業との取引関係を調査した報告書「F(化石)リスト」2024年版を公開した。日本の代理店として電通、広告を出稿する化石燃料企業として東京電力やJERAなど7社を名指しで批判した。背景には、化石燃料企業が潤沢な資金を使って宣伝することで、気候変動対策が遅れるとの危機感がある。(オルタナ副編集長=吉田広子) アントニオ・グテーレス国連総長は24年6月、化石燃料業界の広告を禁止するように各国に呼び掛けた。化石燃料企業を「気候カオス(無秩序)のゴッドファーザー」と呼び、タバコと同様に広告を禁止すべきだと主張した。 広告・PR代理店や媒体などが、化石燃料業界から多額の費用を受け取り、広告を掲載することは「地球の破壊」に加担することだと断じた。 米クリーン・クリエイティブズは、世界1000社以上の広告・PR代理店が賛同するグローバルイニシアティブで、2021年から「Fリスト」を公表している。Fは、英語の「Fossil」(化石)のFだ。 同団体は、「化石燃料を扱う企業・団体は気候変動対策に反対する最大のロビイストであり、良い広告を作れば作るほど、企業イメージが良くなり、気候変動対策が遅れてしまう」と危機感を示す。そこで、広告・PR代理店と化石燃料企業との取引関係を明らかにし、広告を禁止する動きを促す。 Fリスト2024年版では、2023年から2024年にかけて、590の広告・PR代理店が化石燃料企業と締結した1010件の契約をまとめた。 報告書によると、グローバルで広告・宣伝を展開する日本の電通は、東京ガスや英シェル、マレーシアの石油大手ペトロナスなど、化石燃料企業18社と取引があることが分かった。報告書は、電通はカーボンニュートラル目標を掲げながら、多くの化石燃料企業と取り引きしている矛盾を指摘した。 化石燃料企業と見なされる日本企業は次の7社だ。 出光興産/INPEX/ENEOS/JERA/中部電力/東京ガス/東京電力 化石燃料企業との取引が明らかになった結果、世界最大規模の広告代理店ハヴァスグループの代理店4社は、2024年7月にBコープ認証を剥奪された。Bコープとは、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる国際認証だ。 Bコープ認証を運営するBラボは「ハヴァスグループの他の事業体も認証を受ける資格がない」と宣言した。