クラゲの「清熱化痰」の効能で黄色く粘った痰の改善に役立つ【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
【健康長寿に役立つ高齢薬膳】クラゲ 喉に痰がからんでつらい。黄色いネバネバした痰で、なかななか治らない……。痰は、気道の粘膜で作られる分泌物です。気道から生まれる粘液は、体外から入ってきたほこりや細菌から身体を保護する作用があります。分泌量が増えたり、粘度が高くなると気道にたまり、咳によって排出されます。 色のついている痰は病気のサイン?「緑色」はリスクが高い 痰の色や量は、肺や気道の状態を知る目安になります。黄色い痰が出る場合は、ウイルスや細菌に感染していることが考えられます。黄色くなる原因は、白血球の中の顆粒球の一種である好中球にあるとされています。好中球は体内に侵入した細菌や真菌などの異物を排除する役割があり、含まれている酵素「ペルオキシダーゼ」の色素が反映されているのです。 具体的な疾患としては、風邪、急性鼻炎、急性咽頭炎、急性扁桃炎、急性気管支炎、肺炎などの可能性があります。また、副鼻腔炎の場合も、黄色の痰が出やすくなります。 中医学では、痰の色によって改善方法が異なってきます。黄色い痰が出る場合は、呼吸器系をつかさどる臓器「肺」に熱がこもった状態と考えるのです。肺が弱ると、咳、喉、痰など呼吸器系や、鼻のトラブルを引き起こしやすくなります。肺に熱がこもった場合は、黄色い痰だけではなく、痰の粘度も高く吐き出しにくい、激しい咳、鼻が詰まる、喉が乾きやすいといった不調もみられます。 一方、痰の白く色が薄い場合は、肺の冷えによるものと考えます。悪寒、頭痛、関節痛を伴う場合もあります。 黄色い痰のからみを改善するためには、肺の熱を冷まして痰を出しやすくする食材を取り入れることが大切です。咳、ぜん息の改善にも役立ちます。 おすすめは、クラゲ。「清熱化痰」という効能があり、肺の熱による黄色く、粘った痰の改善に役立つのです。 中華料理の前菜や酢の物などでおなじみのクラゲは、じつは薬膳面においてさまざまな優れた効能がある食材です。血圧降下にも威力を発揮しますし、便秘改善にもおすすめです。水分代謝をアップしてむくみにもよく、腫れ物、できもの、化膿にも効果があります。さらに、食べ過ぎによる消化不良を改善する働きもあります。 あまり家庭ではなじみがないかもしれませんが、栄養学的にもコラーゲンを豊富に含み、低カロリー。美と健康のために、もっと取り入れたいヘルシーフードなのです。 中華食材としては、食塩とミョウバンで塩漬けしたものが販売されていることが多く、水でさらす必要がありますが、最近は流水で洗うだけで使える有明海産の「生クラゲ」もスーパーなどで販売されています。 厚みがあってプリプリ、コリコリとした食感でサラダや和え物などに使うととても美味しくいただけます。中華だけではなく、オリーブオイルにも相性がよいので、いろいろな使い方で試してみましょう。 クラゲの黄色い痰を改善する効果を高めるには、同様の効能があるセロリ、タケノコ、昆布などと組み合わせるとよいでしょう。 ■クラゲ高齢薬膳レシピ クラゲとセロリ、鶏肉のごまポンとろろ昆布あえ 肺の熱を鎮め、痰のからみを改善する、クラゲ、セロリ、昆布を組み合わせたレシピ。ごま油とポン酢しょうゆを合わせたタレ、とろろ昆布の旨みで、クラゲとセロリが美味しくつながります。クラゲのコリプリ、セロリのサクサクとした食感も楽しいレシピです。 【材料】2人分 ●生クラゲ 80g ●セロリ 1/2本 ●サラダチキン(市販品) 50g ●A(ポン酢しょうゆ・ごま油=各大さじ1、白すりごま=適量) ●とろろ昆布 大さじ1 ●クコの実 適量 【作り方】 ボウルに流水でよく洗ったクラゲ、縦半分にして斜め薄切りにしたセロリ、食べやすく割いたサラダチキン、混ぜ合わせたA、とろろ昆布を加えてあえる。器に盛りクコの実を散らす。 (池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)