学校給食が完全無償化の韓国、食料自給や農業学ぶきっかけに…日本は30%で地域差とくすぶる不公平感
文科省は無償化には年間約5000億円の予算が必要と推計。10月の衆院選では、立憲民主党や国民民主党などが無償化を公約に掲げた。自民、公明両党が少数与党となった中、実現する可能性も出てきている。
地域の食材は地域で賄う「食料主権」
京都大の藤原辰史准教授(農業史)は、農薬や肥料など資材も含めて海外や国内の大企業に頼らずに、地域の食材は地域で賄う概念である「食料主権」に触れ、「給食は子どもたちが食の大切さを学ぶ場であるとともに、有機など体に負荷の少ない農法で作る良質な食材の生産意欲を持つ新規就農者を増やす可能性がある」と指摘する。
そのうえで、「そうして地域ごとに食料主権を高めていけば、国全体の食料自給率向上につながる。ただ、無償化する際は給食の質を落とさないように、地産地消や調理師の労働条件改善とセットで進める必要がある」と強調する。