学校給食が完全無償化の韓国、食料自給や農業学ぶきっかけに…日本は30%で地域差とくすぶる不公平感
日本の農林水産省によると、韓国の22年の食料自給率(カロリーベース)は33%で、日本(38%)と同様に低い水準にある。ただ、姜さんは「給食での先進的な取り組みは食育を通じて子どもたちに伝わり、大人になってからも地元産を大事にする消費行動につながる。それは自給率向上と食料安全保障強化に寄与するだろう」と指摘する。
地元産「93%」山口県長門市では幻の高級魚も
今月中旬、日本海側にある山口県長門市の市立向陽小には給食を頬張る児童らがいた。ブロッコリーなどを使って開発された県オリジナルの野菜「はなっこりー」や白菜、鶏肉などは市内産で、パンの材料の小麦粉や米粉なども県内産だ。
6年生の児童(11)は「農家の人にも食べ物にも感謝したい」と笑った。
市は今年度から約1億円の予算を付けて給食無償化を実施。別枠で22年度から地場産を購入するための事業を行っており、今年度は約830万円を確保している。はなっこりーや地鶏「長州黒かしわ」、幻の高級魚「キジハタ」など比較的高価な食材に充てる。
市によると、長門市は昨年度、県内産(食材数ベース)の使用割合が93%で県内の自治体で首位だった。生産場面や苦労話などを収めた動画を流す日もある。
江原達也市長は「地元においしい食材がたくさんあることを知れば、将来的にもここで暮らしたいと思うかもしれない。地産地消は地元を愛する心を育むはずだ」と力を込める。
文科省推計で年間5000億円
参議院事務局の資料によると、韓国のほか、フィンランドやスウェーデン、独仏の一部地域などでも無償化が実施されている。一方、日本の学校給食法では給食費は保護者負担と規定。文部科学省の調査では昨年度、給食に使われた食材は全国で地場産(都道府県内産)55%、国産89%(金額ベース)で、ほぼ横ばいの状況が続く。山口は全国トップで地場産87%を誇るが、福岡は51%、東京は9%と
小中学校の給食費を完全に無償化しているのは昨年時点で、全国1794自治体のうち大分県豊後高田市や鹿児島県南さつま市などを含めて約30%。住む場所により、給食が無償か有償なのかが違う状況への不公平感は国民の間でくすぶる。