「生命保険は『不幸クジ』」…それ本当に必要? 荻原博子さんに聞く「インフレ時代を生き抜く知恵」
「貯蓄型」「外貨建て」というキーワードに要注意
食品などで値上げが相次ぐのに、賃上げなどの収入アップが追い付かず、支出の見直しを迫られる家計は少なくない。生命保険の契約も見直しの例外ではない。将来の不安に備えて生保契約する人はいるが、どんな契約は不要で、残したほうがいい契約は何だろうか。 【広島連続保険金殺人事件】壮絶半生…「僕は死刑囚の息子として生きてきた」 食品などで値上げが続いている。このため買い控えの動きが出ており、個人消費が振るわなくなっている。経済統計にも、消費不振の影響がはっきりと出ている。 民間調査会社の帝国データバンクが実施する食品主要195社の価格改定動向調査で、値上げ品目数は今年累計で3万2395品となり、1回あたり値上げ率は平均15%だった。来年も最大で1万品目くらいが値上げになると予想する。 物価上昇を上回る賃上げになるといいが、現実は難しい状況が続く。今年7~9月期の国内総生産(GDP)の実質(季節調整済)は2次速報で、年率換算の前年比で2.9%減と落ち込んだ。内閣府は、食料品や衣服などの消費不振を主因に挙げる。 一方、働き盛りの人が子育てしながら、ある日、病気になり、さらに亡くなると、家族が困る。そうした不安から、傷病や死亡時に保険金が出る生保商品を契約する人が少なくない。その支出は家計の負担になっており、見直す余地がないのだろうか。 ◆生命保険の1世帯の支出額は年間約36万円…よく理解しないまま契約する人も多い 最近の調査で、民間の生保に加入する世帯は8割に達し、その支出額が年間36万円近くになっている。ここを見直すだけでも、家計に大きく影響する。 生命保険文化センターの’21年度の生保実態調査によると、個人年金保険を含めた全生保の世帯加入率は89.8%で、その年間払込保険料は37.1万円となった。医療・入院費や、万一のときに家族の生活保障のためなどという。このうち、民間の生保の世帯加入率は80.3%、年間払込保険料が35.9万円と大部分を占めている。 この調査で、たとえば死亡時に支払われる普通死亡保険金額は、民間の生保の加入部分で1927万円、全保険で2027万円。不幸にして亡くなれば、残された家族に必要なお金は2000万円くらいと考えられているのかもしれない。平均値とはいえ、本当にそれくらい必要なのだろうか。 生保契約について 「見直していいものと、よくないものがあります。適切なのかということです」(荻原さん・以下同) と話すのが、経済ジャーナリストの荻原博子さん。