環境省マイク切り「指示受けた職員が一番つらかろう」…水俣病被害者団体に広がる怒りと不信「環境行政の歴史に汚点残した」
「その場しのぎの姿勢が明らかになった」「環境行政の歴史に汚点を残した」-。水俣病の患者・被害者団体と伊藤信太郎環境相の懇談会で時間を超過した被害者側のマイクの音を意図的に切ったことを環境省が認めた7日、支援者や被害者は不信感を強めた。 環境省幹部「いい懇談会できたと…」 水俣病マイク切り、大臣への報告は6日後「影響拡大を認識できず」 立民ヒアリングに説明
「国はこれまでも被害者の声に耳を傾けてこなかった」。懇談会に出ていた水俣病互助会の谷洋一事務局長(75)は憤る。水俣病特別措置法が定める健康調査は、施行から15年を迎えてもなお実現していない。「今回の謝罪も取り繕っているだけではないか」と不信感をにじませた。 音を消す役を担ったのは司会を務めた特殊疾病対策室長とは別の職員だった。 水俣病被害者の会の中山裕二事務局長(70)は「一番つらかったのは、指示を受け音を消した職員だろう。志を持って働いている職員をも裏切る行為だ」と嘆く。20年ほど前から懇談の場に参加し、最近は国の強行的な姿勢が強まっていると感じていた。「問題解決には立場の違いを超え、環境省と協力していかなければならない。だが信頼することができなくなった」 昨年9月以降、国の救済策を巡る集団訴訟の地裁判決が相次ぎ、いまだに救済されていない被害者の存在が明らかになっている。熊本訴訟の原告副団長を務める出水市高尾野町の村山悦三さん(79)は「改めて懇談の場を開き、ゆっくり腹を割って話をするべきだ」と訴えた。
南日本新聞 | 鹿児島
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