「自分の家だからこそ楽しい空間にしたい!」敏腕経営者&建築家・寺田尚樹さんのカラフルで近未来的な自邸
建築家・寺田尚樹さんは、空間の設計に携わるだけでなく、家具や日用品などのプロダクトのデザイナーや著名な海外インテリアブランドの輸入代理店の代表としても活躍されています。 【写真集】デザイナーらしさ全開のお宅を拝見!気になる家の写真をまだまだお見せします そんな寺田さんのご自宅は、「自宅だからこそ楽しい空間にしたい」という思いを実現した大胆で美しい自邸でした。
空間づくりの起点となった斬新なデザインのソファ
ビビットな色合いや近未来的なフォルムが特徴のヴァーナー・パントンの「リビングタワー」。2階のフリーペースに置かれたこのソファが、寺田さんの空間構想の出発点になりました。
素材で個性を。カラフルを封印したモードな佇まい
地階はRC造でその上に木造で2層を設け、外壁と屋根は窯業系スレート。斜めの壁は同じ角度で室内に連続しています。
ダイナミックで変化に富んだ空間
1950年代から60年代にかけてデザインされた家具たちは、明るい未来を信じていた時代の楽しさやワクワク感が伝わってきます。 「『Memory of Future』あるいは『Yesterday's Tomorrow』という言葉があります。来るはずだったけれど、来なかった未来といった意味です。月面着陸を目指して宇宙開発を進めていたアメリカに引っ張られるように、世界は明るい未来の到来を信じていた。ビビッドな色合いや当時の新素材であるプラスチックで表現した曲線的なフォルムなどは、その象徴だったと思います」と寺田さん。
オールステンレスでデザインされたキッチン
正面奥のパントリーに冷蔵庫や調理用家電を収納しすっきりとした空間を演出。 オレンジのカラーが映える収納は1965年に発表されたUSMハラーシステムを使用し、ダイニングとの仕切りをつくり上げています。
キッチンは掃除のしやすさも考えて設計
料理好きとしても有名な寺田さん。火元からシンクまでワークトップに数センチの掘り込みをつくり、コンロ横にも水道を設けることで掃除しやすいよう工夫。 斜めの壁との取り合いなど随所で高い施工精度が求められました。
3層を貫く斜めの壁がつくりあげる美しい空間
寺田さんの自宅はご両親が共に暮らす二世帯住宅です。 新たに手に入れた土地の高低差を利用して、地下1階、地上2階の3層の建物として実現。親世帯が地階、子世帯が1・2階とわかれ、その3層を一枚の斜めの壁が貫き、2世帯5人をひとつに結んでいます。 圧巻の吹き抜けスペースや1・2階をつなぐらせん階段。そこに50~60年代にかけてデザインされた名作家具の数々が楽しげな表情でバランスよく並べられ、ダイナミックで変化に富んだ空間をつくりあげています。 ノイズになるようなものは極力排除されているため、建築のコンセプチュアルな美しさが際立ちます。