幸福度世界一のフィンランド人から学ぶ“幸せになる秘訣”【第1回】
ルカさんのレストランでは、廃棄物ゼロを原則としている。 「ここには、ごみ箱がありません。すべての料理人は自分用のシースルーのボックスを持ち、仕事中はそれにゴミを入れていきます。そして一日の終わりに測定し、データを入力します。廃棄物を計測するアプリも活用しています。たとえばパンの廃棄量が多いことがわかったとします。お客様に出したのに残したのなら、パンが多すぎるということ。3枚から2枚に減らします。調理中に焦がしたり、つかわなかったりしたのなら、シェフに理由をたずねるかもしれません。すべての材料に値段があるので、どれだけのお金をムダにしたか、ということにもなるのです。 また、社内にコンポスターがあるので、バイオ廃棄物は24時間で堆肥に変え、納品した生産者に持って帰ってもらって、農場に戻します。自分の価値観に基づいて、価値のあることをおこなうことは達成感につながります。廃棄物をゼロにすることは、ある意味、一種の喜びや幸福へのアプローチだと思います」
そんなルカさんが考える、幸福になるための秘訣は? 「レストランビジネスは幸福に基づいていると思います。人びとが一緒に座って、時間を過ごす瞬間をつくり出すことですから。私は祖母のそばで育ち、家族のために食事をつくることが日課でした。人生で何が起ころうと、何をしていようと、日曜日の午後3時には家族全員でテーブルに集まり、その瞬間に集中します。そのことは、いまも私の中に残っています。 食べ物は喜びをもたらします。これは幸せな人生を送るうえで大きな部分を占めています。日々の生活について心配するのではなく、いまを生きることに集中できます。そしてその瞬間は長い間、心に残るものなのです」 Photo & Text:古関千恵子