幸福度世界一のフィンランド人から学ぶ“幸せになる秘訣”【第1回】
国連の「世界幸福度ランキング」で、2018年から7年連続で1位に選ばれている北欧の国、フィンランド。日本は2023年には47位でしたが、今年は54位と順位を落としています。各国約1000人への生活満足度調査をもとにしたこのランキング、フィンランドの人びとはなぜ、自らを幸せと感じ、生活に満足しているのでしょう。その理由を探し、学ぶため、トラベルライターの古関千恵子さんがフィンランド航空で首都・ヘルシンキへ飛びました。
3つのレストランを経営する“ハピネスハッカー”
ヘルシンキはバルト海に面し、中心街から少し離れれば森林が広がる自然豊かな都市。そんな街に暮らす人たちによれば、幸福のカギとなる基本要素は、次の4つだという。 自然との密接なつながり 地に足のついたライフスタイル 新鮮な食材をつかった料理 持続可能な生活へのアプローチ 幸福度No.1の国に暮らす“ハピネスハッカー(幸福の達人)”のひとり、ルカ・バラックさん(写真左)。彼はヘルシンキでサステナブルであることをモットーとするレストランを3店経営している。そのひとつが、古い街並みに溶け込んだ公園の一角にある「エルム」(https://www.restaurantelm.fi/)。このレストランの運営は、サステナブルに関するさまざまな研究をしてる2つの財団によるプロジェクトの一環でもあるという。
「エルムでは、これらの財団が主催する市民が誰でも参加できるランチ会を、毎週おこなっています。参加者は、博士号をもつ研究者からサステナブルに関する話、たとえば気候変動についての話を聞けますし、質問する機会もあります」 ルカさんにとって核となる価値観はサステナビリティ。彼が手掛ける3つのレストランは、それぞれコンセプトは違うけれど、根底に流れるものは共通している。たとえば、食材の仕入れ方も他のレストランとは一線を画す。 「私たちはほぼ40㎞圏内の、おもにバイオダイナック農法(有機農法の一種)の生産者から食材を仕入れています。メニューは私たちが決めるのではなく、生産者によるところが大きいです。たとえば、彼らから電話がかかってきて、『500kgのビーツが残っています』と言われたら、レストランではそれからしばらくビーツのメニューが続きます。スターターやメインコース、デザート、さまざまなメニューでビーツが登場します。私たちは最初からパッケージに入った食材は受け取りません。厄介なレストランかもしれませんが、生産者にとっては梱包する手間も資材も不要なので、ウィンウィンな関係でもあります」