『国民の目』今後も前提」金子春菜弁護士、「旧文通費、費目の明確化を」佐藤ゆかり元衆院議員、「小手先の改革を許すな」神戸学院大・上脇博之教授 政治資金規正法再改正インタビュー(下)
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて6月に改正された政治資金規正法の再改正に向け、与野党が動き出した。「ザル法」の抜け穴をどうふさぐべきなのか、政治資金監査人や元衆院議員、大学教授に聞いた。(共同通信=川嶋大介、河村紀子) 【写真】議席を4倍に伸ばした国民民主党 研究し、参考にしたのは石丸伸二氏 「リアルだけじゃだめ。ネットとの融合ができて初めて票につながる」
▽「新たなブラックボックス」生まれないよう注視―登録政治資金監査人の金子春菜弁護士 国会議員が代表の政治団体や政党支部など「国会議員関係政治団体」は、登録政治資金監査人の監査が義務付けられている。6月の政治資金規正法改正で代表者の責任が強化され、支出のみだった監査対象が預金残高の確認書類などに拡大した。とはいえ、個人が監査する現行制度に加え、第三者機関が組織として監査する仕組みを設けて透明性を高めるべきで、実現してほしい。 制度設計では、独立性の確保が欠かせない。第三者機関の構成員が不偏不党であることを担保するため、人事に国会の同意を必要とする仕組みなどが考えられる。 どこまで権限を持たせるかも論点になる。政治資金収支報告書の虚偽記入が疑われる場合に調査を可能とするなど、権限強化に踏み込んでほしい。一方、政治活動の自由を十分に尊重する必要がある。 規正法は「国民の不断の監視と批判」が前提だ。第三者機関を設置してもこの原則は同じで、政治資金の集め方や使い方が適切かどうかは国民が判断することだ。政治家は「法改正をしたら終わり」と考えるべきではなく、自らの資金管理について丁寧な説明が求められる。
この点で、ブラックボックスだった政策活動費の廃止は当然だ。ただ、使途公開が不要な枠組みが残される可能性があり、新たなブラックボックスが生まれないか、国会の議論を注視したい。 規正法の再改正が中途半端に終われば、再び政治不信を招く。与野党は党利党略の駆け引きの材料にするのではなく、国民のための政治改革を実現しなければならない。 × × × かねこ・はるな 1984年奈良市生まれ。2016年から登録政治資金監査人を務める。国会議員秘書の経験もある。 × × × 登録政治資金監査人 「国会議員関係政治団体」の資金を監査するため、国に登録し、一定の研修を受けた弁護士や公認会計士、税理士。全国に約5千人いる。閣僚らによる不透明な事務所費問題を受け、2007年に導入された。政治資金規正法の再改正に向けた議論では、同様の役割を担う第三者機関を国会に設置するか行政に設置するかなどが争点となる。 ▽税金原資の旧文通費、使途公開を義務に―元自民党衆院議員の佐藤ゆかり氏