『国民の目』今後も前提」金子春菜弁護士、「旧文通費、費目の明確化を」佐藤ゆかり元衆院議員、「小手先の改革を許すな」神戸学院大・上脇博之教授 政治資金規正法再改正インタビュー(下)
自民党派閥裏金事件を受け6月に成立した改正政治資金規正法では、一部の裏金議員が不記載の言い訳にした政策活動費が合法なまま残り、自民の生命線である企業・団体献金と政治資金パーティーの禁止も盛り込まれなかった。使途不明金をつくれなくなる法改正になっておらず、改革は不十分だった。 こうした姿勢に世論が大きく動き、衆院選は与党が過半数を割る結果となった。にもかかわらず、与党は再改正に積極的に取り組んでいない。 来夏に参院選を控え、自民は追い込まれて仕方なく政策活動費の廃止を決めた。だが、使途非公表の支出は温存するとしている。規正法の「抜け道」が今後も残ることになる。本当に使途不明金を生み出さない仕組みに変えられるのか。小手先の改革を許してはならない。 そもそも自民の調査が十分でなかったため、裏金事件は全容も真相も解明されていない。国会の政治倫理審査会が再び開かれる可能性があるが、うそをついても偽証罪に問われず口先の言い訳で逃げ切れる政倫審ではなく、証人喚問を行うべきだ。裏金づくりの起源や経緯、裏金の真の使途を明らかにすることで、より実効性のある法改正が実現するはずだ。
「政治とカネ」の問題は昔から繰り返されてきた。そのたび名ばかりの政治改革が行われ、議員や政党の都合の良い内容に終始した。 今回こそ国民のための改革を断行することが重要だ。お茶を濁すような法改正の場合、幕引きを許してはいけない。「十分だ」と言えるまで声を上げ続けるべきだ。 × × × かみわき・ひろし 1958年鹿児島県生まれ。専門は憲法学。裏金事件以外の問題でも国会議員らを告発している。 × × × 自民党派閥裏金事件 神戸学院大の上脇博之教授は2022年以降、自民党の各派閥が政治資金パーティー収入を過少に記載したとする政治資金規正法違反容疑の告発状を断続的に提出。東京地検特捜部が裏金事件を捜査するきっかけになった。特捜部はこれまでに旧安倍派の池田佳隆被告ら計11人を立件。上脇氏が告発した議員、元議員は35人分に上る(11月26日時点)。