こんなに早く逝ってしまうとは…「健康オタクの夫」が65歳で急逝、残された同い年の妻が受け取る「少なすぎる年金額」に絶望、長すぎる老後に「どう生きていけというのか」
ある日、起きてこなかった夫…警察に疑われる妻
何よりも健康に対して人一倍気を遣っていたのは進さん。「俺は早死の家系だから」というのが口癖で、毎日ジョギングにストレッチは欠かさず、朝は自作の野菜たっぷりジュース。煙草もやらず、お酒もたしなむ程度……あまりの健康オタクっぷりから、誰からも「マスターは、120歳まで生きられる」と太鼓判を押されるような人だったといいます。 過去形でいうとおり、進さんは65歳で急逝。原因はまったくわからないと智子さん。 ――その日、いつまでも起きてこなくて。どうしたのかなと思って起こしにいったら、布団のなかで亡くなっていました 警察がやってきて検視をしていったといいますが、急逝心臓死と結論付けられたとか。 ――私が何かしたと疑われてね……あのときは大変だった しかし本当に大変なのはこれから。智子さんも65歳なので年金受給が始まる年齢。「生活が苦しくても、保険料だけは払ってきた」というだけあり、申請すれば満額受給となるはず。しかし老齢基礎年金だけなので月6万8,000円(令和6年度)。これだけで暮らしていくには難しいでしょう。やはり、死ぬまで働く以外、方法はないようです。さらに平均寿命を考えると、あと20年以上もあります。あまりに長すぎる老後に、絶望感を覚えたといいます。 ――もう夫もいないのに……どう生きていけというのでしょう 抜け殻のような状態で、それでも店に立つ智子さんに、常連客が「年金をもらうのをもう少し待ったらどうだい?」とアドバイス。いわゆる「年金の繰り下げ受給」。通常であれば65歳から受け取る年金を、66~75歳の希望するタイミングに繰り下げて受け取る制度で、1ヵ月遅らせるごとに受取額は0.7%アップ。最大84%増額と、約2倍になります。令和6年度の水準であれば、75歳まで繰り下げれば12.5万円ほどに。働いて生活できるだけの収入が得られるなら、年金を受け取らず、増額を狙うのも選択肢だというのです。 ――老後について夫と話すことといえば健康のことばかりだったので、そんな制度があることを知りませんでした 熟考を重ねた結果、働けなくなったときに少しでも年金は多いほうがいいだろう、ということで、年金を繰り下げることに決めたといいます。 [参考資料] 厚生労働省『令和5年簡易生命表の概況』 株式会社LIFULL senior『配偶者・パートナーとの後についてのアンケート調査』 日本年金機構『年金の繰下げ受給』