救急車が一部地域で「有料化」されたと聞きました。「7700円」かかる場合もあるそうですが、請求されるのはどんな場合でしょうか…?
救急車は体調不良や急病などのときに、人命を救うためにも重要な役割を持っています。しかし、近年では緊急性が低いケースでも救急車を呼ぶことも増えており、一部地域では救急車の有料化が始まりました。 本記事では、救急車が有料になった背景や有料化の条件などについて解説するので、気になる人は参考にしてください。 ▼セルフレジになったら「客に仕事をさせるのか!」と暴言を吐かれた! 仕事だし我慢するしかないの?
救急車有料化は三重県松阪市でおこなわれている
救急車有料化は三重県松阪市で、病院と地域の医院・診療所等の機能分担の推進と地域の救急医療を守るために開始されました。令和6年6月1日(土)午前8時30分以降から、松阪中央総合病院・済生会松阪総合病院・松阪市民病院の3つの病院が対象でおこなわれています。 救急車を利用して病院に行った際に、入院に至らなかった場合は7700円(税込)が選定医療費としてかかります。選定医療費は原則として救急の患者は対象外ですが、入院しない軽症の場合は対象になるので注意する必要があります。 しかし、すべてのケースにおいて救急車有料化が適用されるわけではなく、以下の場合は対象外です。 ●紹介状持参の人 ●入院に至った人 ●公費負担医療制度の対象の人 ●災害により被害を受けた人 ●労働災害、公務災害、交通事故 ●医師の判断による これらの場合は、入院に至らなくても救急車を呼んだことによる選定医療費はかかりません。 ただし、入院しない場合などに選定医療費がかかることがあるため、実際は急を要するにもかかわらず、救急車を呼ぶことをちゅうちょしてしまう懸念もあります。三重県では、自分で判断が難しい場合は、松阪地区救急相談ダイヤル24などの利用をすすめています。
救急車有料化に至った背景とは?
松阪市でこのように救急車有料化に至った背景には救急体制・救急医療のひっ迫があります。 消防庁によると、全国で救急車の出動件数が増えているため、救急車が現場に到着するまでの平均時間が10分を超えています。119番通報から病院収容までの時間も延びており、平成24年時点で約39分、令和4年時点では約47分と時間が遅くなっています。 例えば、心肺停止のときなどは1分1秒を争うので、救急車の到着時間が遅くなっているのは大きな問題です。 また、近年では救急車が現場に向かった後に、緊急性が低いと判断したケースでは搬送をしないこともあります。本当に緊急性が高くて搬送が必要な人を助けるためにも、重要度が高い人を優先的に搬送することが必要です。 医療機関は機能と規模によって求められている役割が違うので、心配だから大きな病院に行こうとするのではなく、かかりつけ医が必要と判断した場合は大きな病院に行くなどの機能分担・相互連携が求められます。