“グルメ通”の地元記者だけが知る!本当は教えたくない名店【中国編】
「両親の味を引き継ぎたい!」復活した大判焼き/島根
島根で地元記者がおすすめする店は、松江駅から歩いて10分ほど、松江市中心街に店を構える「きむら新月堂」。昔懐かしい「大判焼き」を販売し、こだわった素朴な味わいが半世紀以上にわたって市民に親しまれている。 店先からは、店主の木村まりさんが、次々に「大判焼き」を焼き上げていく様子を見ることができる。 1個180円の「大判焼き」は、はみ出すほどの「あんこ」入りと、ふわふわの「クリーム」入りの2種類。見た目も味わいも懐かしさを感じさせる“庶民派”のお菓子だ。 「きむら新月堂」は1945年に和菓子店として創業、先代の両親、勝彦さん・啓子さん夫婦が長年、大判焼きをつくり続けてきた。生地や「あんこ」などの仕込みは勝彦さん、焼きは啓子さんが担当、熟練の連携でやわらかく焼き上げる、まさに夫婦“2人3脚”の逸品だ。 20年ほど前までは、多い日には1日1000個を焼き上げたそうだが、菓子・スイーツの好みの多様化もあって、2021年の閉店直前には1日100個ほどに。 夫婦とも高齢になったこともあり、2021年8月、多くの市民に惜しまれながら閉店した。 しかし、仕事場で両親の背中を見て育った娘のまりさんが、市民に長らく愛された味を途絶えさせたくないと、 “脱サラ”して店を引き継ぐことを決断、2023年5月、再オープンした。 娘の決断に当初は猛反対だったという父・勝彦さんだったが、生地やあんこの仕込みの技を伝授。母・恵子さんも焼きの“極意”を教え、「新月堂」の味が引き継がれた。 大判焼きを焼く鉄板などの機材は、閉店後処分してしまい、新たに調達したそうだが、唯一、看板だけは、いつか店を再開させようと、まりさんがこっそり保管。今の店でも目印になっている。 「思いを引き継いで。感謝しかないので、あんこと一緒に大判焼きに詰めていきたい」と話すまりさんの「大判焼き」も、松江市民に末永く愛されることだろう。 (TSKさんいん中央テレビ) 《きむら新月堂》 住所:島根県松江市東朝日町83-12