なぜ私は『松島トモ子 サメ遊戯』のような映画を作り続けているのか…「バカ映画」の巨匠・河崎実監督かく語りき
キャスティングが企画の肝
―― キャスティングで企画が決まる的な? 企画ありきのキャスティングですよね。 河崎 企画があって。例えば最新作の『松島トモ子 サメ遊戯』っていうやつも、これはサメのゲームのプロモーションビデオを作るはずだったんだけど、じゃあサメに襲われる役は誰がいいかなといったら、ライオンとヒョウに食われた松島トモ子さんでいいんじゃないかって。松島トモ子がオーケーしてくれたから企画が転がっていくという。 ―― なるほど。ポスターのビジュアルとタイトルとキャスティングで、それだけで河崎さんの映画のすべてが伝わってくる感じがありますよね。 河崎 そうだね。今日、ヨネスケさんが『徹子の部屋』に出て、俺の『突撃!隣のUFO』(23)っていう映画の話をしてくれてね。この人がUFOに突撃するっていうだけの映画だから。これで俺の好きなUFOのネタができる、っていう。 ―― 必ず怪獣映画エッセンスは入ってきますよね。 河崎 大体着ぐるみは出てくるからね。3メートルの宇宙人。 ―― そうやって次々に成立しているのがすごいですよね。未亡人で壇蜜さんのとか。 河崎 『地球防衛未亡人』(14)。これは当たったんだよ。 ―― タイトルとキャスティングでみんな「エッ」と思ったんじゃないですか。 河崎 だから、俺の映画ってそれだけなんだよね(笑)。 ―― でも、そこに河崎さんという名前があるとちょっと安心感があるのは確かです。 河崎 『いかレスラー』ぐらいからでしょう。この人はバカなんだ、っていう。
最初からバカって言っておけば怒られない
―― そういうポジションの監督ってそれまでいなかったですよね。 河崎 俺はこういうキャラクターもののお笑い映画しか撮れないんですよね。しかもユルい笑いの。『ヅラ刑事』(06)とか。だから、企画ものですよね。出オチというか。 ―― それは最初から狙っていたわけじゃなくて、だんだんそうなったんですか? 河崎 俺も腐ってもプロなんで。まあ、ほぼ腐ってるけど(笑)。 ―― いやいや(笑)。 河崎 ほんとほんと。やっぱり分かってきたわけだよ。人がどう俺を見るか。最初からバカって言っておけば怒られないし。だから、そういうポジションに行こうと思ってね。 ―― 今、年2本ぐらい撮られているじゃないですか。 河崎 3本撮ってるね。 ―― ああ、そうですか。 河崎 来年、俺の劇場公開作3本あるんだもん。 ―― それだけ撮っている監督はあんまり居ないですよ。 河崎 あなたも撮ってるじゃないですか。 ―― 僕はそんなペースじゃないです。