「内縁の妻に財産を遺したい」→行政書士の教える「遺言の書き方」が具体的だった
● バツイチ子持ち男性がプロポーズで 婚約指輪の代わりに渡したものとは? 弊事務所の面談室に入るなり、切羽つまった表情で「どうしても彼女と結婚したいので遺言書を作ってください!」とおっしゃった相談者(Aさん)のお話です。 私が事情を尋ねると「彼女(Cさん)は私の前妻との間の子ども(B)のことが気になっているようで、『もしAさんが死んだら私と住んでいる自宅が相続財産になるでしょ。当然B君も相続人だから自宅の相続をめぐってモメるかもしれないよね。それが心配で結婚に踏み切れないの!』と言われたんです。いくら私が『Bは自分の家があるから大丈夫だよ』と言っても『そんなことわからないじゃない!』の一点張りです。だから遺言書を作って安心させたいんです!」とのことでした。 条項例(4) 第○条 私は下記の不動産をC(住所、生年月日)に遺贈する。 ただし、私の死亡した時点においてCが私の妻である場合は「遺贈する」を「相続させる」と読み替える。 (不動産の表示 省略) そこで上記の文を入れた遺言書案を作りました。ただし書の文言があれば彼女から妻(相続人)になってもスムーズに手続きができます。
さて、公証役場に行く公正証書作成本番の日(いつもどおり大安の日)を予約し、私も証人として寿用の白いネクタイで臨みました。無事、遺言作成が終わってAさんに「プロポーズが成功したら連絡くださいね。健闘を祈ってます!」と声を掛けました。 その翌週でした。Aさんが弊事務所にあいさつに来てくれました。「お世話になりました。今から入籍してきます!」と婚姻届まで見せてくれたAさん、そして隣には右手に公正証書遺言を持った笑顔のCさんがいました。 「相続で前妻との間の子どもとモメたくない」 これはバツイチ子持ちの男性と結婚を考える女性が抱く共通の不安でしょう。こうした男性の皆さんは遺言書という婚約指輪を渡してみてはいかがでしょうか。 口だけで「大丈夫だよ」と言うよりも説得力が段違いにあると思います。遺言書が、不安な彼女の背中を押してくれるはずです。 ちなみに、遺言書を作って渡したものの、プロポーズを断られ、結局、結婚を断念した場合は注意が必要です。作った遺言書が無効になるように撤回しておくことを忘れないようにしてください。
佐山和弘