高齢者の孤立死は増加、賃貸オーナーや管理会社は受け入れ拒否が多数。万が一のとき賃貸借契約の解除・残置物の処理を行う等、安心入居に奔走する不動産会社の挑戦 アミックス
増え続けている高齢者の孤立死
しかし、このように高齢者の受け入れに前向きな会社はまだ少数派です。いざ高齢者が賃貸住宅へ入居しようとしても、認知症の発症や孤立死、それに伴う残置物の処理などを恐れて高齢者を受け入れないオーナーや管理会社が今も多く存在します。 なぜならば、入居者が居室内で亡くなった場合、賃借権は相続され、残置物も相続の対象となるので、オーナーや管理会社は勝手に処分できません。撤去するには、亡くなった人の戸籍をたどって遺族を探し出し、残置物処理の同意に関する手続きが必要でした。賃貸借契約時に残置物処理に関する取り決めがなされていないと、解決するまでに数年かかることもあります。その間オーナーは誰にも部屋を貸せなくなってしまったり、残置物処理や原状回復が済んで貸し出せたとしても、借主の心情に配慮して賃料を下げなくてはならなかったりするからです。 実際、高齢者の孤立死は今もなお一定数起こっています。 2022年版(令和4年版)高齢社会白書によると、東京都23区内における65歳以上の一人暮らしで、自宅で亡くなった人の人数は、2020年で4238人に上ります。
同調査の60歳以上の人へのアンケートでは、一人暮らしをしている人の半数以上が孤立死を身近な問題として感じており、高齢の入居者自身も孤立死に対する不安を持っている人が多いといえます。
増える孤立死に必要な契約の条件やサービスとは?
このような課題を踏まえ、2021年6月に国土交通省と法務省から「残置物の処理等に関するモデル契約条項」が発表されました。これにより、司法書士などの専門家や不動産会社などの法人が入居者当人と生前に契約を結ぶことで、これまで遺族が行うのが前提となっていた死後事務や整理を第三者が行えるようにしたものです。 アミックスでも日々の見守りシステムに加えて、万が一のときには「賃貸借契約の解除」と「残置物の処理」をスムーズに行えるようにした「見守り事務委任契約」をスタートしました。ヤモリ社製の『みまもりヤモリ』という人感知センサー機器を使って日ごろの見守りを行います。定期的な巡回や、異変があったときに駆けつけるのはオーナーの賃貸をサブリースしている会社、つまり貸主にあたるアミックスが担当。そして、万が一、入居者が亡くなったときは死後事務の代行サービスを提供するリーガルスムーズ社が賃貸借契約の解除と残置物所有権放棄の手続きを代行し、家賃保証会社のエルズサポートにて明け渡し完了まで家賃保証されます。入居者の負担は月々3000円程度の利用料のみです。 「積極的な高齢者の受け入れは、空室を減らすための一つの有効な方策となるでしょう。同時にオーナーさんが安心して貸すことができるよう、リスクを減らしていく仕組みの構築が不可欠でした。 『みまもりヤモリ』からの通知や定期的な巡回で、何かあっても早期の発見が可能です。特殊清掃(遺体の発見が遅れ、遺体の腐敗などによりダメージを受けた室内を原状回復するための消臭、汚染除去など、特別な清掃)が必要になるリスクは軽減され、賃貸契約解除手続きや残置物処理まで行うことで、オーナーの負担は少なくなります」