高齢者の孤立死は増加、賃貸オーナーや管理会社は受け入れ拒否が多数。万が一のとき賃貸借契約の解除・残置物の処理を行う等、安心入居に奔走する不動産会社の挑戦 アミックス
高齢者受け入れが業績に及ぼす効果と、新たに見えてきた課題
この見守り事務委任契約に関する問い合わせは月平均で30件ほど、多い月では50件以上。さらに入居前の面談をした高齢者で、見守り事務委任契約への新規の加入を希望する人は60件(キャンセル含む)を超えました。 「高齢の方は、一度入居されるとライフスタイルの変化が少ないので、長く住まわれることが多いのが特徴です。高齢者を積極的に受け入れている当社では、受け入れが進んでいない一般的な賃貸住宅よりも解約の頻度が低いと考えられるため、これからも空室率が下がっていくことが期待できます」 アミックスの2024年3月期の実績は、管理戸数9531戸(委託管理を含む管理戸数は10,310戸)中、空室はわずか14戸、空室率約0.15%という好業績。一方で、実際に死後事務委任契約を締結した数は、アミックスの管理物件に入居する高齢者836名(2023年7月20日時点、予備軍含む)中53件です。 金子さんは「契約数は徐々に増えている」としながらも「反響や問い合わせがあっても、そもそも物件の入居申し込みに至らないことも多く、契約締結にまで繋がっていない」と分析しています。入居につなげていくには、高齢者にも住まい探しをする上での覚悟が必要だとも。 「残念ながら、高齢者に貸し出しOKで、家賃が安くて広い物件など、滅多にないのが現状です。1Kやワンルームの部屋も多く、これまで広い家に住んでいた人が、いきなり限られた広さの部屋に住むという現実とのギャップを受け入れられないケースも多いと思います。サポートシステムを整えるだけでなく、入居者には現実との擦り合わせも促していかなければなりません」
「見守り事務委任契約」のようなサービスが当たり前の社会になっていくために
今後、高齢者を対象としたサービスが増えていくために考えるべきことを、金子さんは次のように話してくれました。 「賃貸管理業界においても効率化という名の下、アプリやコールセンターでの電話対応など、社員がお客さまと直接関わらない方向へと進みがちです。しかし高齢者はスマホを使いこなせない人も多く、自分自身の生活や命に関わることなので、密なコミュニケーションを必要としています。 時代と逆行しているようですが、私たちは既に入居されている65歳以上の方を個々に訪問してサービスの内容を説明し、安心に住んでいただけるように定期的に巡回もしています」