900年欠かさず行われてきた春日大社「旬祭」神道の基本を凝縮した祭典を体験
昨年、20年に一度、社殿や御神宝を新調・修復する式年造替で注目を集めた春日大社(奈良市)。来年創建1250年を迎える同社では、年間約2200ものお祭りが斎行されています。 中でも毎月1日・11日・21日に行われる「旬祭」は、宮中の賢所・神殿・皇霊殿(宮中三殿)と春日大社でのみ行われている大切なお祭りです(※橿原神宮、北海道神宮といった明治時代以降創建の新しい神社では宮中に習って行っています)。春日大社では900余年、一度も欠かすことなく斎行されてきました。 月に3日間ある春日大社の旬祭のうち、21日のお祭りには一般参拝者も参列することができます(申し込み不要、先着100名)。今回は21日の旬祭への参列体験を綴りたいと思います。
不断の格式高い祭典を間近で拝観
春日大社の旬祭は、関白・藤原忠実(1078~1162)の祈願によって平安時代の保安2(1121)年に始められたお祭りで、一般の神社の月ごとの決まった日に行う「月次祭」に相当します。明治以前は「旬御供」「旬御神事」などと称されていました。毎月1のつく日(旧暦にない31日を除く)に神々に旬の神饌(食べ物)と御幣(布やお金の代わりとなるお供え物)が捧げられます。 旬祭の開始は午前10時。この30分ほど前に一般参列者はまず、境内の「感謝・共生の館」に集合し、お祭りで奏上する「大祓詞」を頂いたり、参列に関する説明を受けたりします。旬祭参列には特に費用はかかりませんが、せっかく参列させて頂くのですから、この受付時に神様に敬意を表してお志をお納めするのが良いかと思います。また、お祭りの後で希望者はお粥の直会を頂くことができます。直会希望の旨を申し出て、お粥代1000円もこの時にお納めします。 旬祭に際して気持ちを鎮めて、いざ、昇殿。参列者は、普段の参拝では立ち入ることのできない御本殿前の西御廊(御本殿に向かって左)の板の間に座ります。毎回70~80名ほどが参列しており、筆者が参列させて頂いた日も、ほぼ満員状態でした。北陸など遠方から毎月、参列している方もいるそうです。