バレー久光製薬 世界を見据えた“完成形”への挑戦
久光製薬(サブホームタウン:兵庫県神戸市)はV・プレミアリーグで開幕から無傷の15連勝、首位を走っている。中田久美前監督(現・日本代表監督)が勝つための土台を築いてきたチームを、今季が本格スタートとなる酒井新悟監督がどう進化させていくのか。世界を見据え、課題に挑みながら目指す久光バレーの “完成形”とは。 長岡望悠、石井優希が躍動 女子バレー「久光製薬」5連覇
石井優希「ファンの方が声援してくれたおかげ」
「久々のホームでの2連勝、嬉しいしホッとしました。立ち見がでるほどたくさんの方に見にきていただいて、フルセットの苦しい中、勝てたのもファンの方が声援してくれたおかげだと思っています」 ホームゲームの佐賀大会。東レをストレートで破りトヨタ車体にもフルセットで勝ち切った後、石井優希はそう言って笑顔を見せた。負けなしの15連勝。2017年のリーグを連勝で締めた。
圧倒的なオフェンスの決定力
強い。負けない──。久光製薬が強い理由の一つはオフェンスの決定力、「決定打」が多いことだ。「アタック決定率」「アタック決定本数(1セット当たりも)」はリーグ1位。 サイドアタッカーには、中心メンバーとしてVリーグや天皇杯皇后杯などのタイトルを取ってきた新鍋理沙、石井優希、昨季のリーグ終盤からひざを負傷した長岡望悠に代わって入り成長を見せる野本梨佳の全日本組に加え、2017年のユニバ代表としてユニバーシアード競技大会で銀メダル獲得に貢献した今村優香が先発に名を連ねる。 ブロッカーやレシーブ隊形をみてのブロックアウトやコース打ちなど技術力の高い新鍋。速い攻撃だけでなく、ハイセット(二段トス)もしっかりと打ち切り決められる石井、野本、今村には「崩しても二段で決められ、どうしようもない」と対戦相手の監督が舌を巻いたこともあった。今季から正セッターの栄絵里香は言う。 「石井はサーブで狙われる大変なポジションですが、『もっと動いていくよ』と言ってくれるので持ち味の機動力を活かしていきたい。野本は高さが一番の強みなので打点をひき出せるように。今村はスタートで出ることは多くないですが、思い切り力を出してくれている。信頼して上げられている。レフトに偏らないようにライトの新鍋の打数も意識して増やせる展開にしたいです」