バレー久光製薬 世界を見据えた“完成形”への挑戦
リードブロックを取り入れ「トータルディフェンス」
中田久美前監督が5年かけ育て、土台を築いてきた「久光のバレー」をどう進化させていくのか──。「シンゴさんのバレー」のキーワードは「トータルディフェンス」だ。 サーブから戦略を練り、リードブロックシステムでブロックタッチ数を増やし、浮いたボールを攻撃で切り返し得点する。ブロックとディフェンスの関係からタッチボールや抜けたところをレシーブ。これまで1位だった「ブロック得点」は3位になっているが、数字に表れる“キルブロック”から表れない“グッドタッチ”へと方針を転換したからで、決してマイナスなことではない。 「相手の攻撃枚数やレシーブの位置によってブロックのつき方を変えるなど、結果(勝利)を求めながらも課題を持って取り組んでいる。デリケートなスキルなので一歩間違えば外に弾いたりすい込んでしまったりするが、やるにつれいいタッチがとれるケースが増え、バックアタックに対してや速い攻撃にもついていけるようになってきた。選手たちが意欲的にやってくれているからだと思います」 ブロックに関してもアキンラデウォの存在は大きい、と酒井監督は言う。 「アメリカの代表選手なのでリードブロックをよく理解している。相手を1枚にしない、どんなトスでも触りにいく。女子選手はブロックシステムへの理解や切り替えが難しいこともあるが、アキンラデウォが『リードブロックをやらないと世界では勝てない』とポジティブに話して後押ししてくれるので、全日本組を中心に意欲的に取り組んでくれている」 日本の選手も徐々にトータルディフェンスに手応えをつかんできている。 「アメリカがリードブロックなので、知っているアキンラデウォが中心になっていいタッチをたくさん取ってくれるし、一緒に跳んでいても安心感があります。ディグのコースを読みやすい。難しい部分はありますが、相手のバックアタックに対しても2枚、3枚しっかりつけている。ブロックとディフェンスの関係が今までよりよく、ディグからの攻撃も決められているのでいい試合運びができていると思います」(石井)、「ブロックを止めにいくのかタッチを取るのか、チームとしての判断が高まってきているのでよくなってきていると思います」(野本)と自信をのぞかせる。