バレー久光製薬 世界を見据えた“完成形”への挑戦
プレーだけにとどまらないアキンラデウォ効果
そんなサイド陣に加え、今季は世界ナンバーワンミドルブロッカーとの呼び声高い、アメリカ代表のフォルケ・アキンラデウォ(世界選手権優勝、ロンドン五輪銀、リオ五輪銅)が加入。高い打点からの鋭角な速攻や幅広いブロード攻撃で久光のサイドアウト率を上げている。 「サイドアウト力は絶対的。パスを忠実に返して持っていけば、なんとかしてくれる。それによってサイドがより決めやすくなるというのが大きな利点」と酒井監督が言うように、アキンラデウォがブロッカーを2枚ひきつけるためサイドのマークが薄くなる。それは石井も実感している。 「アキンラデウォ選手が入るとBパスからでもミドルを使える。サイドはすごく楽になります」 サイドが決まれば今度は真ん中が決まりやすくなる、という好循環は数字にも現れている。「アタック決定率」はアキンラデウォが現在1位で岩坂名奈が3位。岩坂の打数も増え12月10日時点ですでに昨季の本数を超えた。安定したサーブレシーブ(リーグ1位)から栄が積極的にミドルを使いうまく回していることもその理由だろう。「サイトバレー」「ミドルの打数が少ない」と言われてきた久光が全員攻撃をしかけてくる。そうなればさらに手ごわくなる。 「ミドルで決めてもらえるとサイドが使いやすくなる。ミドルをなるべく多く使っていきたいと思っている中で、(アキンラデウォ選手に)決めてもらえるので気持ちいいです」とセッターの栄も笑顔でそう話した。 “アキンラデウォ効果”はプレーだけにとどまらない。 「バレーボールに対する姿勢、考え方がスマートで人間的にも素晴らしいので選手たちもリスペクトしています。しっかりとバレーに向き合って話もしてくれるので非常に助かっています」(酒井監督) 「流れが悪くなったりミスが続くと、日本人は落ち込みがちですが、そんなときにも明るくいこう! みたいな感じで振る舞ってくれる。連続失点していてもそういうのを感じさせない声掛けをしてくれる。チームのムードも上がるし、一緒にやれて嬉しいです」(栄) 「性格がすごくいい選手で経験もあるので、経験からの発言もしてくれますし、チームをいいように持っていってくれるので頼りがいがあります」(石井) チームの雰囲気やメンタルにもいい影響が出ている。