バレー久光製薬 世界を見据えた“完成形”への挑戦
「新しい力」も芽生えている
「久光は全員が戦力」──。今季は今村優香、加藤光、森谷史佳ら出場機会が少なかった若手選手たちもより多く長くコートに立ち、結果を出そうと奮起している。 今村は初めこそ途中で石井と交代したが、その後はすでに4試合先発フル出場している。途中、野本に代わって活躍した試合もあった。新鍋に代わって入ることの多い加藤も佐賀大会のトヨタ車体戦で、大事な第5セットもそのまま先発しフルセットで勝ちきった。ピンチサーバーで入ることの多い森谷もブロックを決め期待に応えた。 「スタートの選手が崩れても、崩れることなく代わったとしても戦力を落とさず戦えている。いろんな選手が出て結果につながっているので自信になっていると思います」と石井。リーグは長丁場、若手選手が計算できるようになれば、主力を休ませることもでき、コンディショニングにも好都合だ。けがをした長岡が復帰を焦ることなくじっくり完治を目指すことも可能だ。 中田久美前監督は使い続けながら石井をサーブレシーブのできるサイドアタッカーに、長岡をポイントゲッターにと育ててきた。「レギュラーを固定するのではなく若い力を使って勝ってチームの底上げを図りたい」。酒井監督も積極的に使うつもりでいる。
“完成形”への課題はサーブとバックアタック
勝ちにこだわりながら進化を続ける久光製薬にも世界を見ればまだ課題はある。サーブとバックアタック。それは世界に挑む日本代表の課題でもある。 1位を目指す「サーブ効果率」はミスも多く3位。「バックアタック決定率」は4位。バックアタック本数が殊に少ない。12月10日時点での71本(27得点)はリーグ最少。最も多いトヨタ車体の338本(157得点)と比べるとその差は歴然だ。石井、野本、今村、新鍋も打ってはいるが、コンビの中で効果的に使えるまでには至っていない。酒井監督もそれは分かっている。 「無理してバックを使う必要はないが、もう一つ上のレベル(世界)を考えれば、オプションとしては必ず持っていたい。バックアタックで点数を取れるチームになったら、このチームはより強くなる。そこが完成形」という。 「前衛2枚時のときにバックアタックを呼んで助けたい。3枚でしっかり回っているローテでも積極的に入って常に3枚4枚攻撃ができれば、もっともっと面白いバレーができると思う」と石井も前向きだ。 “グッドタッチ”を多く取り、粘り強く拾って精度高いトスにしていろんな攻撃パターンで切り返す。前後左右と複雑に絡んで、前からも後ろからも自在に攻撃をしかけることができれば──。それができたとき「久光バレー」は完成を迎え、“強さ”は本物になる。