獣医師さんに早く会いたい…?動物園のパンダの「待て」のポーズの「まさかの真意」
ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。 【写真】パンダのタンタンと過ごした、すばらしい日々 2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。当時、国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。
獣医師さんが待ち遠しい!?
健診の獣医師さんを待つお嬢様の姿をお伝えしたのが、連載第73回(https://gendai.media/articles/-/94525)。公式ツイッターにアップされたお姿。オリから思いっきり前あしが出ているのは、やる気の表れなのでしょうか? と尋ねると、「あれは、気が抜けている姿です」と笑うのは、飼育員の梅元良次さん。気が抜けすぎて、だいぶ前あしがでてしまったようです。 「トレーニングが始まれば、何も言わなくてもキチンとしてくれますよ」と話す梅元さん。さすがはお嬢様。一流のトレーニーにそんな心配は無用だったのですね。 この時は、獣医師さん待ちのタンタンと戯れながら撮影された写真もツイートされていました。獣医師さんが来るまでは、タンタンと飼育員さんで少し遊びながら待つことが多いのだそうです。「早くリンゴが欲しいのにもらえないから、タンタンも何となく落ち着かないんですよね」と、梅元さん。リンゴも大切ですが、一緒に遊んでもらえる時間がうれしいんですよね、お嬢様。
大好きなタケノコ
取材時は4月。ここから6月頃にかけてはタンタンが好きな、ネマガリタケ(根曲竹)のタケノコシーズンです。このネマガリタケは、タンタンが食べられるものを増やそうと、もうひとりの飼育員で、お嬢様の専属庭師・吉田憲一さんによって、園内に植えられました。お嬢様は朝一番に収穫された、新鮮なものを召し上がっているそうですよ。 「今年はポッキーというより、鉛筆並みの太さになりました」と話していた吉田さん。前年よりだいぶ太くなり、鉛筆というよりは太いマジックのよう。食べ応えもありそうです。栽培にあたっての工夫をたずねると「良い土と肥料を追加しました。これから、年々少しずつ成長すると思います。いろいろと食べてくれるものが限られている中、残さず食べてくれていることがうれしいです」と、吉田さん。 中国への帰国が決まったタンタンに、育ちきっていなかった細いタケノコを与えたのが、ずいぶん昔の話のように思えますね。 この頃には、観覧中止の延期も決定しました。すっかり夜型になったタンタンの夜の様子を伝える、公式ツイッターの「#深夜パンダ館」では、夜中にモリモリ竹を食べる様子がアップされていました。夜型になっている原因は何なのでしょうか。「季節的なものもありますが、タンタンの気分も関係しているのではないかと思います」と、梅元さん。 日中はのんびりと過ごし、夜は静かなパンダ館で気ままに夜更かし。その姿はまさに、夜を支配するお嬢様……いいえ、女王様です。映像を見ている限りとても楽しそうですね、女王様。