黒トリュフの人工発生に成功、白トリュフ含め安定した栽培技術開発へ 森林総研など
西洋料理の高級食材とされる国産の黒トリュフを人工的に発生させることに森林研究・整備機構森林総合研究所などのグループが成功した。昨年には白トリュフの人工発生も確認しており、今後は白黒両方のトリュフが安定的に育つ条件を探り、栽培技術開発を進めていくという。
トリュフの和名はセイヨウショウロ。マツタケと同様、生きた樹木の根に共生して増殖する菌根菌から発生するキノコの仲間だ。国内には20種以上が自生しており、食材として期待できる種もあることから、森林総研の山中高史東北支所長(微生物生態学)らは、トリュフの生育に適した樹種や土壌環境を解明し、国産種のトリュフを発生させる取り組みを2015年ごろから始めた。
人工発生の研究材料として選んだのは、黒トリュフのアジアクロセイヨウショウロと、白トリュフのホンセイヨウショウロ。前者は北海道から九州にかけて、後者は東北から中国地方で自然発生が確認されている。国内で広く人工発生させることができる可能性が高いと山中支所長らは考えた。
トリュフはシイタケやエノキ、ナメコなど、丸太やおがくずに植えた菌が栄養をとってキノコが発生するのとは違い、共生する樹木と菌根菌の相互作用でキノコができる。菌だけでなく樹木の管理も必要となり人工発生が難しいとされる。
研究では、国内で盛んなマツタケの人工栽培実験の知見を生かし、キノコをすりつぶした液などを使って菌をコナラの根につけた。
黒トリュフについては、2016年4月と7月に岐阜県内の試験地に菌を付けたコナラの苗を植えたのをはじめ、茨城県や京都府など計4カ所に苗を植えた。毎年秋を中心にキノコの発生がないか確認をしていたところ、7年目の今年10月に、岐阜の試験地で地表面に球形の黒いキノコ2個、計約50グラムが発生しているのが確認できた。遺伝子を調べ、元々土壌にあった菌などではなく、コナラ苗木に接種したトリュフ菌からできたキノコだと特定した。